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おぐえもん
大学に通う理系学生です♪Webサイトやチラシ、冊子などのデザインや、システム開発などの経験があります。音楽が好きで、渋谷系サウンドが好物です!
たぶん今すぐ使えるテクニックから、きっと全く使えない豆知識まで。

【行列式編】互換の求め方と置換の符号

置換の一つである「互換」というものを扱い、「置換の符号」の求め方に迫ります!これを読めば行列式の定義を理解する準備が完了!

おぐえもん

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線形代数解説の定番サイト。大学1年生どころか再履のアホでも分かる丁寧な説明が特長。1年生前期〜後期の授業で学ぶ範囲を扱います。

前回の記事では、置換と巡回置換についてのお話をしました。
今回は、置換の一つである「互換」というものを扱い、「置換の符号」というものの求め方に迫ります!

これが分かれば行列式の定義が理解できますよ!

はじめに読んでおいた方が良い記事

今回の記事は、行列の「置換」について理解していないとワケワカメです。
置換について予習したい方は、はじめに↓の記事ご覧ください!

【行列式編】置換と巡回置換
https://oguemon.com/study/linear-algebra/permutation/

目次(クリックで該当箇所へ移動)

互換

互換とは

巡回置換の中でも、特に長さが2のものを互換と言います。

互換

長さが2の巡回置換を互換と言い、\((s \ t)\)で表す。
$$(s \ t)=\left(
\begin{array}{cc}
s&t\\
t&s
\end{array}
\right)$$

例えば、前の記事で扱った巡回置換\((2 \ 5)\)は、長さが2なので互換です。おめでとうございます。

互換の積

実は、巡回置換には「どんな巡回置換も互換の積で表せられる」という性質があります。

巡回置換→互換の積

巡回置換\(\sigma=(i_1 \ i_2 \ \cdots \ i_m)\)について、
$$\begin{eqnarray}
\sigma&=&(i_1 \ i_2 \ \cdots \ i_m)
&=&(i_1 \ i_m)(i_1 \ i_{m-1}) \cdots (i_1 \ i_4)(i_1 \ i_3)(i_1 \ i_2))
\end{eqnarray}$$が成立する。すなわち、任意の巡回置換は互換の積で表せる。

これは、実際に積を確かめてみればわかると思います。例えば、\(i_2\)は、右上から辿っていくと「\(i_2 \rightarrow i_1 \rightarrow i_3\)」となりますが、右から3つ目より左には\(i_3\)を含む互換がないため、「\(i_2 \rightarrow i_3\)」の対応確定が確定します。\(i_1\)や、\(i_3\)以降についても同様の方法で確かめられます。
一応、例を置いておきますね。
$$(2 \ 5 \ 4 \ 1)=(2 \ 1)(2 \ 4)(2 \ 5)$$

ちなみに、互換の積の表し方は複数あります!
例えば、\((2 \ 5 \ 4 \ 1)\)だけでも
$$(2 \ 5 \ 4 \ 1)=\left\{
\begin{array}{l}
(2 \ 1)(2 \ 4)(2 \ 5)\\
(1 \ 4)(1 \ 5)(1 \ 2)\\
(2 \ 1)(5 \ 1)(2 \ 4)(5 \ 1)(2 \ 5)\\
(5 \ 1)(1 \ 2)(5 \ 4)(2 \ 1)(5 \ 2)\\
など…
\end{array}
\right.$$という風にたくさんの表し方で書くことができます。(1行目は上の公式通り、2行目以降は自力で探しました…汗)

奇置換と偶置換

先ほど、巡回置換は互換の積で複数通りの表現ができることを説明しましたが、もう1つ重要な性質を説明する必要があります。
これは、ある巡回互換を表現するとき、掛け合わせる互換の数はいかなる表現であれ必ず奇偶が揃うという性質です。

巡回互換の表現に用いる互換の数の奇偶

ある巡回置換\((i_1 \ i_2 \ \cdots \ i_m)\)を互換の積で表現するとき、その表現の仕方に関わらず、積に用いる互換の個数の奇偶が一致する。

例は先ほどのものをご覧ください。\((2 \ 5 \ 4 \ 1)\)について、3つの互換の積と5つの互換の積で表現した例をあげましたが、4つの互換の積が無かったのは、そもそもそのように表現できなかったからです。

先ほどのお話と、置換は複数の巡回置換の積で表せるという性質から、置換は複数の互換で表せることが分かります。巡回置換に用いる積の個数の奇偶は常に同じなので、置換を表す上で使用される互換の個数も、その表わし方によらず奇偶が同じです。
そこで、置換は「偶数個の互換の積で表されるもの」「奇数個の互換の積で表されるもの」の2つにグループ分けされます。

奇置換と偶置換

奇置換:奇数個の互換の積で表される置換
偶置換:偶数個の互換の積で表される置換

例として、この記事の一番最初に登場した以下の置換
$$\sigma=\left(
\begin{array}{ccccc}
1&2&3&4&5 \\
4&3&2&5&1
\end{array}
\right)$$について考えます。
この置換は「1→4→5→1」「2→3→2」という2つの巡回置換が見られます。よって、
$$\sigma=(1 \ 4 \ 5)(2 \ 3)$$と表されます。
ここで、\((1 \ 4 \ 5)=(1 \ 5)(1 \ 4)\)より、\((1 \ 4 \ 5)\)は2つの互換の積で表されます。
また\((2 \ 3)\)は元から互換なので、\(\sigma\)は3つの互換の積で表されることになります。
$$\sigma=(1 \ 5)(1 \ 4)(2 \ 3)$$よって、\(\sigma\)は奇置換です!

置換の符号

置換の符号の定義

置換には符号というものが定義されます。そのルールは以下の通り。

置換の符号

ある置換\(\sigma\)の符号を\({\rm sgn}(\sigma)\)と表し、これを以下のように定義する。
$${\rm sgn}(\sigma)=\left\{
\begin{array}{l}
-1 \ (\sigmaが奇置換)\\
1 \ (\sigmaが偶置換)
\end{array}
\right.$$すなわち、\(\sigma\)が\(m\)個の互換の積で表されるとき、
$${\rm sgn}(\sigma)=(-1)^m$$である。

これが行列式の定義に登場するために今まで頑張ってきたわけです!!本当お疲れ様です!!

置換の符号の例

定義だけ述べて終わるのもなんなので、最後にどっと例を示します。
\((1 \ 2 \ 3)\)から生み出すことのできる\(3!=6\)種類の置換です。

$$
(1)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 1&2&3 \end{array}\right),
(2)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 1&3&2 \end{array}\right)\\
(3)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 2&1&3 \end{array}\right),
(4)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 2&3&1 \end{array}\right)\\
(5)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 3&1&2 \end{array}\right),
(6)\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 3&2&1 \end{array}\right)
$$

(1)
単位置換じゃんって感じですが、強いていうなら「\((1 \ 2)(1 \ 2)\)」と表すことができます。よって偶置換。符号は\(1\)です。

(2)
以下の式より奇置換。符号は\(-1\)です。
$$\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 1&3&2 \end{array}\right)&=&\left(\begin{array}{cc} 2&3 \\ 3&2 \end{array}\right) \\
&=& (2 \ 3)
\end{eqnarray}$$

(3)
以下の式より奇置換。符号は\(-1\)です。
$$\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 2&1&3 \end{array}\right)&=&\left(\begin{array}{cc} 1&2 \\ 2&1 \end{array}\right) \\
&=& (1 \ 2)
\end{eqnarray}$$

(4)
以下の式より偶置換。符号は\(1\)です。
$$\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 2&3&1 \end{array}\right)&=& (1 \ 2 \ 3) \\
&=& (1 \ 3)(1 \ 2)
\end{eqnarray}$$

(5)
以下の式より偶置換。符号は\(1\)です。
$$\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 3&1&2 \end{array}\right)&=& (1 \ 3 \ 2) \\
&=& (1 \ 2)(1 \ 3)
\end{eqnarray}$$

(6)
以下の式より奇置換。符号は\(-1\)です。
$$\begin{eqnarray}
\left(\begin{array}{ccc} 1&2&3 \\ 3&2&1 \end{array}\right)&=&\left(\begin{array}{cc} 1&3 \\ 3&1 \end{array}\right) \\
&=& (1 \ 1)
\end{eqnarray}$$

こうして見ると、奇置換が3つ、偶置換も3つになりました。
\(n\)文字の置換は全部で\(n!\)通りありましたが、その中で奇置換と偶置換が同数であることが知られています。

おわり

以上で行列式の定義に必要な知識は全て揃いました。次回は行列式の一般的な定義に迫ります!

行列式の定義をわかりやすく解説!>>