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おぐえもん
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大学1年生もバッチリ分かる線形代数入門

【線形写像編】次元を絡めた線形写像の性質

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

前回の記事では、ある線形写像で定められている対応付けの規則を表現する便利なアイテム「表現行列」を扱いました。

【線形写像編】表現行列って何?定義と線形写像の関係を解説

今回は「次元」がテーマです。次元とは、線形空間の基底をなす要素の個数のことでした。ここでは、線形写像と絡む次元の性質を紹介します。

目次(クリックで該当箇所へ移動)

値域と核の次元の関係

線形写像\(f:V \rightarrow W\)について、\(V\)が有限次元ならば、その値域\(\mathrm{Im} f\)と、核\(\mathrm{Ker} f\)も有限次元です。そして、その次元について次の関係があります。

$$\dim(V) = \dim(\mathrm{Im} f) + \dim(\mathrm{Ker} f)$$

この理由はシンプルです。\(\mathrm{Im} f\)の各基底に対応する\(\dim(\mathrm{Im} f)\)個の要素と、\(\mathrm{Ker} f\)の基底を合わせると、\(V\)の基底となるからです。そのことを証明します。

下準備

まず、\(V\)の次元が有限ならば、その値域\(\mathrm{Im} f\)と、核\(\mathrm{Ker} f\)も有限次元であることを示しましょう。

\(V\)の基底の一組を\(\boldsymbol{a}_1, \cdots, \boldsymbol{a}_n\)とします。すると、\(V\)の任意の要素\(\boldsymbol{a}\)は、\(\boldsymbol{a} = \lambda_1 \boldsymbol{a}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{a}_n\)と表せるので、次式が成立します。

$$ \begin{aligned} f(\boldsymbol{a}) &= f(\lambda_1 \boldsymbol{a}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{a}_n) \\ &= \lambda_1 f(\boldsymbol{a}_1) + \cdots + \lambda_n f(\boldsymbol{a}_n) \\ \end{aligned} $$

これより、\(\mathrm{Im} f\)内の任意の要素を\(f(\boldsymbol{a}_1), \cdots, f(\boldsymbol{a}_n)\)で生成することができます。よって、\(\mathrm{Im} f\)の次元は\(n\)以下であり、有限です。

そして、\(\mathrm{Ker} f\)の次元ですが、\(\mathrm{Ker} f\)は\(V\)の部分空間なので、その次元は\(V\)の次元以下であり、有限です。

メインの証明

前提が示せたところで、\(\mathrm{Im} f\)の各基底に対応する\(\dim(\mathrm{Im} f)\)個の要素と、\(\mathrm{Ker} f\)の基底を合わせると、\(V\)の基底となることを示しましょう。

まずは定義です。\(\mathrm{Im} f\)の基底を\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_m\)とします。そして、各\(\boldsymbol{c}_i\)に対して\(f(\boldsymbol{b}_i) = \boldsymbol{c}_i\)を満たす\(V\)の要素を\(\boldsymbol{b}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_m\)とします。いわば、\(\mathrm{Im} f\)の各基底の対応元となる要素です。

そして、\(\mathrm{Ker} f\)の基底を、\(\boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{d}_r\)とします。

\(\boldsymbol{b}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_m\)と\(\boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{d}_r\)を合わせた\(m+r\)個の要素が\(V\)の基底になることを示すためには、基底の定義を満たすための次の条件がともに成立することを示します。

\(m+r\)個の要素\(\boldsymbol{b}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_m, \boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{d}_r\)について

  1. 一次独立であること。
  2. \(V\)を生成すること。(つまり、これらの一次結合で\(V\)の任意要素を表せる)

条件1 一次独立であること

\(\lambda_1 \boldsymbol{b}_1 + \cdots + \lambda_m \boldsymbol{b}_m + \mu_1 \boldsymbol{d}_1 + \cdots + \mu_r \boldsymbol{d}_r = \boldsymbol{o}\)を満たすとき、スカラー\(\lambda_i\)と\(\mu_j\)が全て\(0\)になることを示します。まずは両辺の\(f\)に関する像を取ると次式が成立します。

\[\lambda_1 f(\boldsymbol{b}_1) + \cdots + \lambda_m f(\boldsymbol{b}_m) + \mu_1 f(\boldsymbol{d}_1) + \cdots + \mu_r f(\boldsymbol{d}_r) = \boldsymbol{o}\]

ここで、\(\boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{d}_r\)は\(\mathrm{Ker} f\)の要素なので、核の定義から次式が成立します。

\[f(\boldsymbol{d}_1) = \cdots = f(\boldsymbol{d}_r) = \boldsymbol{o}\]

そして、ここでは\(f(\boldsymbol{b}_i) = \boldsymbol{c}_i \ (i=0, \cdots, m)\)と定めたので、上式の左辺にこれらを代入して、次式に変形できます。

\[\lambda_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \lambda_m \boldsymbol{c}_m = \boldsymbol{o}\]

\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_m\)は\(\mathrm{Im} f\)の基底なので一次独立です。よって、一次独立の定義より\(\lambda_1 = \cdots = \lambda_m = 0\)になります。

これを最初の式に代入しましょう。すると次式になります。

\[\mu_1 \boldsymbol{d}_1 + \cdots + \mu_r \boldsymbol{d}_r = \boldsymbol{o}\]

ここで、\(\boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{d}_m\)は\(\mathrm{Ker} f\)の基底なので一次独立です。よって、\(\mu_1 = \cdots = \mu_r = 0\)になります。

これより、スカラー\(\lambda_i\)と\(\mu_j\)が全て\(0\)になることが示せました!

条件2:Vを生成すること

\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_m\)は\(\mathrm{Im} f\)の基底なので、その一次結合で\(\mathrm{Im} f\)の任意の要素を表せます。そして、\(V\)の任意要素\(\boldsymbol{a}\)の像\(f(\boldsymbol{a})\)は、\(\mathrm{Im} f\)の要素です(これは\(\mathrm{Im} f\)の定義より明らかです)。したがって、適当なスカラー\(\nu_1, \cdots, \nu_m\)を用いて、次式のように書けます。

\[f(\boldsymbol{a}) = \nu_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \nu_m \boldsymbol{c}_m\]

ここで、\(f(\boldsymbol{b}_i) = \boldsymbol{c}_i\)であったことを用いると、

\[f(\boldsymbol{a}) = \nu_1 f(\boldsymbol{b}_1) + \cdots + \nu_m f(\boldsymbol{b}_m)\]

さらに、線形写像の性質を駆使して次のように変形できます。

\[f(\boldsymbol{a}) = f(\nu_1 \boldsymbol{b}_1 + \cdots + \nu_m \boldsymbol{b}_m)\]

両辺から右辺を引いて、同じく線形写像の性質を用いた変形をすると、

\[f(\boldsymbol{a} – (\nu_1 \boldsymbol{b}_1 + \cdots + \nu_m \boldsymbol{b}_m)) = f(\boldsymbol{o})\]

右辺が零ベクトルになりました。ということは、左辺の\(f\)のカッコの中にある要素は\(\mathrm{Ker} f\)に含まれます。したがって、\(\mathrm{Ker} f\)の基底を使った次式が成立します。

\[\boldsymbol{a} – (\nu_1 \boldsymbol{b}_1 + \cdots + \nu_m \boldsymbol{b}_m) = \mu_1 \boldsymbol{d}_1 + \cdots + \mu_r \boldsymbol{d}_r\]

適当に移項したら次の通り。

\[\boldsymbol{a} = \nu_1 \boldsymbol{b}_1 + \cdots + \nu_m \boldsymbol{b}_m + \mu_1 \boldsymbol{d}_1 + \cdots + \mu_r \boldsymbol{d}_r\]

よって、任意の\(\boldsymbol{a} \)は、\(\boldsymbol{b}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_m, \boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_r\)の任意の結合の形で表せる、つまりこれらの要素が\(V\)を生成することを示せました。

以上で、\(\boldsymbol{b}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_m, \boldsymbol{d}_1, \cdots, \boldsymbol{b}_r\)が\(V\)の基底であることが示せました。

\(m\)は\(\mathrm{Im} f\)の基底の要素数(=次元)で、\(r\)は\(\mathrm{Ker} f\)の基底の要素数(=次元)です。\(V\)の基底の要素数(=次元)は\(m+r\)であり、当初の次元に関する等式の成立は明らかです。

同型と次元

2つの線形空間が同型であることと、両者の次元が一致することは同値です。

線形空間\(V,W\)があり、\(V\)が有限次元であるとき、

$$V \cong W \Longleftrightarrow \dim V = \dim W$$

同型な2つの線形空間は、線形空間としてほぼ同じものでした。次元さえ一致するなら、各線形空間の具体的な形が座標だろうが連立方程式の解だろうが、両者を線形空間としてほぼ同じものとして捉えることができるというスゴい定理です。線形代数における理論の抽象性とその適用範囲の広さを垣間見ることができます。
証明は、右矢印(十分性)と左矢印(必要性)に分けて行います。

十分性(→)の成立

\(f\)が\(V\)から\(W\)の上への同型写像ならば、同型写像は全射なので\(\mathrm{Im} f = W\)であり、同型写像は単射でもあるので、\(\mathrm{Ker} f = \boldsymbol{o}\)です。したがって、

$$ \begin{aligned} \dim(V) &= \dim(\mathrm{Im} f) + \dim(\mathrm{Ker} f) \\ &= \dim(W) + \dim(\boldsymbol{o}) \\ &= \dim(W) \end{aligned} $$

必要性(←)の成立

\(\dim V = \dim W\)とします。そして、\(V\)の基底を\(\boldsymbol{a}_1, \cdots, \boldsymbol{a}_n\)、\(W\)の基底を\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_n\)とします。

\(V\)の任意の要素\(\boldsymbol{a}\)は、\(\boldsymbol{a} = \lambda_1 \boldsymbol{a}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{a}_n\)の形で一意に表すことができるので、一次結合の係数\(\lambda_1,…,\lambda_n\)はそのままに、基底のみを\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_n\)に置き替えた次の線形写像を定義できます。

\[f(\boldsymbol{a}) = \lambda_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{c}_n\]

\(V\)の任意の2要素を、次のように定めます。

$$ \begin{aligned} \boldsymbol{a} &= \lambda_1 \boldsymbol{a}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{a}_n \\ \boldsymbol{b} &= \mu_1 \boldsymbol{a}_1 + \cdots + \mu_n \boldsymbol{a}_n \end{aligned} $$

これに対して、\(f(\boldsymbol{a}) = f(\boldsymbol{b})\)が成り立つとき、次式が成立します。

$$ \begin{aligned} \lambda_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{c}_n &= \mu_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \mu_n \boldsymbol{c}_n \\ (\lambda_1 – \mu_1)\boldsymbol{c}_1 + \cdots + (\lambda_n – \mu_n) \boldsymbol{c}_n &= \boldsymbol{o} \end{aligned} $$

\(\boldsymbol{c}_1, \cdots, \boldsymbol{c}_n\)は\(W\)の基底なので一次独立です。したがって\(\lambda_i – \mu_i = 0 (i = 1, \cdots, n)\)つまり、\(\lambda_i = \mu_i\)が成立します。よって、\(\boldsymbol{a} = \boldsymbol{b}\)となり単射であることが分かります。

そして、\(W\)の任意の要素は\(\lambda_1 \boldsymbol{c}_1 + \cdots + \lambda_n \boldsymbol{c}_n\)の形式で書けるので、これはつまり\(W\)の任意の要素は、ある\(V\)の要素\(\boldsymbol{a}\)の像\(f(\boldsymbol{a})\)であると言えます。よって、\(\mathrm{Im} f = W\)であり、全射であることが分かります。

以上から、この線形写像\(f\)は全単射なので、同型写像と言えます。そうした写像を持つことから\(V\)は\(W\)に同型(\(V \cong W\))です。

おわり

次回は、線形写像の階数の定義と、それが表現行列の階数と一致するというキモチイイ性質について扱います。

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