【行列式編】行列式の定義
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こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

前回の記事で置換についてバッチリ学習できたと思います。いよいよ行列式の定義について扱いたいと思います。

行列式の定義

行列式の定義は、置換の概念がふんだんに用いられた形になっています。

定義は次の通り。

行列式の定義

nn次の正方行列A=[aij]A=[a_{ij}]について、行列式A|A|は以下の式で定義される。

A=σSnsgn(σ)a1σ(1)a2σ(2)anσ(n)|A|=\sum_{\sigma \in S_n}{\rm sgn}(\sigma)a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)} \cdots a_{n\sigma(n)}

ただしSnS_nnn文字の置換(全n!n!通り)の集合である。

簡単に言えば、こんな感じ。

  1. ある置換を用意します。
  2. 置換の上行を行番号に、下行を列番号に対応付けます。(iiσ(i)\sigma(i)列成分を探す)
  3. 対応付けで特定されたnn個の成分(a1σ(i)a_{1\sigma(i)}anσ(n)a_{n\sigma(n)})を掛け合わせます。
  4. 用意した置換の符号を掛け合わせます。(奇置換→マイナス/偶置換→プラスを付ける)
  5. 以上の作業を全ての置換に対して行います。

まだ分かりにくいと思うので、例を示します。

行列式を求める例

超シンプルに、2次の正方行列を例に挙げます。

A=(a11a12a21a22)A=\left( \begin{array}{cc} a_{11} & a_{12} \\ a_{21} & a_{22} \end{array} \right)

まずは、全ての置換を列挙します。2文字の置換は2!=22!=2通り。以下の二つです。

σ1=(1212), σ2=(1221)\sigma_1 = \left( \begin{array}{cc} 1 & 2 \\ 1 & 2 \end{array} \right), \ \sigma_2 = \left( \begin{array}{cc} 1 & 2 \\ 2 & 1 \end{array} \right)

ここで、σ1\sigma_1は偶置換、σ2\sigma_2は奇置換ですので、両者の符号は

sgn(σ1)=1, sgn(σ2)=1{\rm sgn}(\sigma_1)=1, \ {\rm sgn}(\sigma_2)=-1

ですよね。偶(奇)置換や、置換の符号については前回の記事をご覧あれ。

さて、行列式を求めていきましょう。

置換σ1\sigma_1から手をつけます。σ1\sigma_1では、

σ(1)=1, σ(2)=2\sigma(1)=1, \ \sigma(2)=2

ですので、1行1列成分の「a11a_{11}」と、2行2列成分の「a22a_{22}」を掛け合わせます。(a11a22a_{11}a_{22})。

置換σ1\sigma_1の符号は1\underline{1}なので、+a11a22\underline{+a_{11}a_{22}}ですね。

次に置換σ2\sigma_2を扱います。σ2\sigma_2では、

σ(1)=2, σ(2)=1\sigma(1)=2, \ \sigma(2)=1

でしたので、1行2列成分の「a12a_{12}」と、2行1列成分の「a21a_{21}」を掛け合わせます(a12a21a_{12}a_{21})。

置換σ2\sigma_2の符号は1\underline{-1}なので、a12a21\underline{-a_{12}a_{21}}ですね。

以上から、

A=sgn(σ1)a1σ1(1)a2σ1(2)+sgn(σ2)a1σ2(1)a2σ2(2)=a11a22a12a21\begin{aligned} |A| &={\rm sgn}(\sigma_1)a_{1\sigma_1(1)}a_{2\sigma_1(2)}+{\rm sgn}(\sigma_2)a_{1\sigma_2(1)}a_{2\sigma_2(2)} \\ &=a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21} \end{aligned}

が導かれました。

これは以前の記事で扱った 2 次正方行列における行列式の定義と同じです。以前に与えた「公式」たちは、こういった複雑な定義に基づき導かれたものだったのです。

余力がある人は 3 次正方行列の行列式も導いてみましょう!(前回の記事で扱った例が役に立ちます!)

行列式について押さえておくと捗ること

  • 足し引きされる項の数は、全部でn!n!です。これは、置換の総数から明らかですね。
  • 足す項と引く項は同数です。これは、nn文字の置換の総パターンの中で、奇置換と偶置換が同数だからです。
  • 足し引きされる項のそれぞれは、絶対に 「ある行から1つ」かつ「ある列から1つ」の成分を掛け算したものになっています。 つまり、同じ行または同じ列の2成分を掛け合わすことはありません(a12a22a_{12}a_{22}みたいな項は現れない)。これは、これから扱う行列式の性質をイメージする上で重要です!!

おわり

行列式の定義については以上です。次回は、行列式の性質について説明したいと思います。

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