こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
今回からは、行列式や逆行列についてのお話を進めます。連立方程式のお話については【連立方程式編】消去法と階段行列以降の記事をご覧ください。
【連立方程式編】消去法と階段行列
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さて、早速はじめましょう!!
行列式とは?
行列式は、行列の特徴を表す指標の 1 つです。行列式なんて言いますが、方程式などではなく、スカラーです。つまり、「1」「3」みたいな値をとります。
行列式の定義は結構複雑です。この記事では 2 次と 3 次の行列の例に留め、一般的な定義については次回以降の記事で扱います。
【行列式編】行列式の定義
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行列式が最も活躍するのは、逆行列を導出する場面です。
逆行列とは、ある行列にかけることで、その行列を単位行列にしてしまう行列のことです。逆行列は、連立 1 次方程式を一瞬で解くことを可能にするなど、行列計算の上で非常に有益かつ重要な力を有します。
行列式は、逆行列の導出に必要な値です。そして、行列式の値から、逆行列がそもそも存在するのかを確認することができます。
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行列式の値が0か否かで、逆行列を持たないかどうかが分かります。
行列式の表記
行列Aの行列式は、∣A∣やdet(A)と表します。「det」は、行列式の英語に当たる"determinant"に由来します。
どちらを使用しても構いませんが、以降では、∣A∣の方を使用します。
行列式の定義(ミニサイズの行列用)
まず、行列式は正方行列に対してのみ定義されます。よって、以降では基本的に正方行列のみ扱うこととします。
行列式の定義は、一般的なn行n列行列に対して説明するとかなり複雑になるので、今後いくつかの記事を経て展開することになります。
今回は、'さわり'なので、定義が比較的簡単である 2 次正方行列と 3 次正方行列の場合について説明します。
2次正方行列の行列式
かなり簡単です。
A=(a11a21a12a22)
について、
∣A∣=a11a22−a12a21
つまり、「(左上×右下)-(右上×左下)」ですね。
【例】次の行列の行列式を求めます。
B=(3524)
について、∣B∣=3∗4−2∗5=12−10=2です。
3次正方行列の行列式
次数が1つ増えただけなのに、かなり複雑になります…
A=a∗11a∗21a∗31a∗12a∗22a∗32a_13a_23a_33
について、
∣A∣=a11a22a33+a12a23a31+a13a21a32−a13a22a31−a12a21a33−a11a23a32
式で表すと複雑すぎるので、次の図で表現される場合も多々あります。
【例】次の行列の行列式を求めます。
C=158349267
について、
∣C∣=(1∗4∗7)+(3∗6∗8)+(2∗5∗9)−(2∗4∗8)−(3∗5∗7)−(1∗6∗9)=28+144+90−64−105−54=39
と定義されます。
最後に
今回は、行列式の概要と、簡単な行列に対する行列式の定義について扱いました。次回以降では、行列式を導くために必要な「置換」という概念などに関する説明を進めることで、n行n列行列の行列式の定義に迫ります。
【行列式編】置換と巡回置換
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