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おぐえもん
大学に通う理系学生です♪Webサイトやチラシ、冊子などのデザインや、システム開発などの経験があります。音楽が好きで、渋谷系サウンドが好物です!
たぶん今すぐ使えるテクニックから、きっと全く使えない豆知識まで。

【行列式編】余因子と余因子展開

逆行列の求め方の一つに「余因子」というものを活用する方法があります。今回は、「余因子」とは何なのかと、「余因子展開」の性質について扱っていきます。

おぐえもん

本カテゴリ
線形代数の要点などを見やすくまとめた、大学1回生・再履修したアホ向けの学習コンテンツ。おおよそ1年生前期〜後期の授業で学習する範囲を扱います。

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

さて、ある行列の逆行列を求めるために、「余因子」というものを利用します。そこで、今回は余因子について解説し、後半では余因子の醍醐味(?)である「余因子展開」に触れます。

目次(クリックで該当箇所へ移動)

余因子について

余因子ってなに?

余因子とは、簡単に言えば、ある行と列を共にカットして残った一回り小さい行列について、その行列式に、プラスorマイナスの符号を加えたものです。直感的に表現したのが次の画像です。

正方行列\(A\)の\(i\)行目と\(j\)列目をカットして作る余因子を\((i,j)\)成分の余因子と呼び、\(A_{ij}\)と記します。

余因子の詳しい作り方は次の通り。

余因子の作り方

正方行列\(A\)から\((i,j)\)成分の余因子\(A_{ij}\)を作りたい!

  1. 行列\(A\)から\(i\)行\(j\)列を抜き去る。
  2. その行列の行列式を計算する。(これを\(D_{ij}\)と書きます)
  3. 求めた行列式に対して、行番号と列番号の和が偶数ならば「プラス」を、奇数ならば「マイナス」をつけて完成!$$
    A_{ij} = \begin{cases}
    D_{ij} & (i+j=偶数) \\
    -D_{ij} & (i+j=奇数)
    \end{cases}$$

ちなみに、最後に加える符号は、成分の場所に応じて次のようになっています。
$$
\left(
\begin{array}{cccc}
+&-&+&\cdots \\
-&+&-&\cdots \\
+&-&+&\cdots \\
\vdots&\vdots&\vdots&\ddots \\
\end{array}
\right)
$$

余因子の例

次の行列について、2行3列成分の余因子\(A_{23}\)を求めてみましょう!
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
1&2&3 \\
4&5&6 \\
7&8&9
\end{array}
\right)
$$
ステップ1:
\(A\)から「2行目」と「3列目」を抜き去りましょう。
$$
\left(
\begin{array}{ccc}
1&2 \\
7&8
\end{array}
\right)
$$ステップ2:
次に、この行列の行列式を求めます。
$$
\begin{eqnarray}
D_{23}&=&
\left|
\begin{array}{ccc}
1&2 \\
7&8
\end{array}
\right| \\
&=&\underline{-6}
\end{eqnarray}
$$ステップ3:
最後に、「2行&3列」から「\(2+3=5\)(奇数)」なので、\(D_{23}\)に「マイナス」を加えて終了です。
$$A_{23}=-D_{23}=\underline{6}$$
計算こそ面倒ですが、ルール自体は割とシンプルなのがお判りいただけましたか?

余因子展開

余因子が持つ重要な性質

余因子の世界では、\((i,j)\)成分の余因子(\(A_{ij}\))と、\((i,j)\)成分自身(\(a_{ij}\))を掛け合わせることが少なくありません。そのようにして作られた積\(a_{ij}A_{ij}\)を、あるルールに基づいて足し合わせると面白い性質が見えてきます。

余因子には次に掲げる性質を持っています。

余因子展開

行列\(A\)に対する\((i,j)\)成分の余因子を\(A_{ij}\)とする。
この時、行列\(A\)のそれぞれの行について次の式が成り立つ。
$$|A|=a_{i1}A_{i1}+a_{i2}A_{i2}+\cdots+a_{in}A_{in}$$同じく、それぞれの列について次の式が成り立つ。
$$|A|=a_{1j}A_{1j}+a_{2j}A_{2j}+\cdots+a_{nj}A_{nj}$$

上の性質は、同じ行(または列)の「成分×余因子」を全て集めて足し合わせた値は、もとの行列\(A\)の行列式と等しくなることを表しています。

つまり、行列式は、「成分×余因子」同士の足し算の形に展開できるわけです。このような展開を余因子展開と呼びます。

この性質が成り立つ理由は複雑で、そのうえ話が長くなるため割愛します。多分講義で先生が一生懸命に証明してくれると思うんで頑張って板書してください。

余因子展開って何が嬉しい?

みなさんが既に感じている通り、余因子展開は、超面倒な計算を伴う性質です。ですので、これを利用して行列式を求める場面はほとんどありません(ただし、行列の成分に「0」が含まれている場合は計算の手間が少し省けるかも)。

が、この性質のおかげで、逆行列の公式を導くことができるようになるので、決して無視できない重要性があるのです。

初学者のみなさんは、ひとまず余因子展開は逆行列を求めるための前座なんだと捉えておけばOKです。

余因子展開の例

それでは、実際に余因子展開ができることを確かめてみましょう。

ここでは「余因子の例」で扱ったものと同じ行列を用います。
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
1&2&3 \\
4&5&6 \\
7&8&9
\end{array}
\right)
$$先ほどの例から、2行3列成分の余因子\(A_{23}\)が\(\underline{6}\)であると分かりました。そこで、同じ行の成分の余因子を用いた、

$$|A|=a_{21}A_{21}+a_{22}A_{22}+a_{23}A_{23}$$

が成り立つことを確かめてみます。

まず、2行1列成分の余因子\(A_{21}\)を求めます。これは、$$
D_{21}=\left|
\begin{array}{ccc}
2&3 \\
8&9
\end{array}
\right|=-6
$$かつ、「\(2+1=3\)(奇数)」より、\(\underline{A_{21}=6}\)です。

同様にすると、2行2列成分の余因子\(A_{22}\)は、\(\underline{-12}\)であることが分かります。

材料が揃ったので、\(a_{21}A_{21}+a_{22}A_{22}+a_{23}A_{23}\)を計算します。
$$
\begin{eqnarray}
a_{21}A_{21}+a_{22}A_{22}+a_{23}A_{23}&=&4*6+5*(-12)+6*6 \\
&=&\underline{0}
\end{eqnarray}
$$これがもとの行列の行列式\(|A|\)と同じであることを示すため、\(|A|\)を頑張って計算します(途中式は無視して構いません)。
$$
\begin{eqnarray}
|A|&=&1*5*9+2*6*7*+3*4*8 \\
&&-3*5*7-2*4*9-1*6*8 \\
&=&45+84+96-105-72-48 \\
&=&\underline{0}
\end{eqnarray}
$$先ほどの結果と同じく「0」が導かれました。よって、もとの行列式と同じであること、つまり余因子展開が成立することが確かめられました。

おわり

今回は逆行列を求めるために用いる「余因子」について扱いました。次回は、逆行列の一般的な求め方について扱いたいと思います!

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