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おぐえもん
大学に通う理系学生です♪Webサイトやチラシ、冊子などのデザインや、システム開発などの経験があります。音楽が好きで、渋谷系サウンドが好物です!
たぶん今すぐ使えるテクニックから、きっと全く使えない豆知識まで。

行列の定義・用語

行列やベクトル周りの定義や用語について説明します!

おぐえもん

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線形代数解説の定番サイト。大学1年生どころか再履のアホでも分かる丁寧な説明が特長。1年生前期〜後期の授業で学ぶ範囲を扱います。

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

前回の記事では、そもそも線形代数とは何をする学問なのかをゼロから解説しました。

線形代数と不可分な関係にある「行列」というものは、高校までの数学に一切出てこなかった全く新しい存在です。なので、行列に関する基本的な定義や用語から扱う必要があります。この記事で扱う言葉は今後もバンバン出てるのでしっかり覚えましょう!!

目次(クリックで該当箇所へ移動)

行列とは

行列

行列とは、記号や実数・複素数などの要素を、縦方向と横方向に長方形(正方形も含む)状に並べたものです。
表現するならこんなんです↓
$$
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 4 & 0 \\
2 & 3 & 8 \\
7 & 5 & 4
\end{array}
\right),
\left(
\begin{array}{cc}
-4 & 4.3 \\
-1 & 3.5 \\
5.7 & 12
\end{array}
\right),
\left[
\begin{array}{cc}
120 & 423 \\
334 & 102
\end{array}
\right]
$$
数の並びには大きいカッコで括られるのですが、囲う記号には(丸カッコ)と[角カッコ]の二流派があります。基本どちらでもOK!

数字の横の並びを「」と呼び、縦の並びを「」と呼びます。日常生活と違って「行」と「列」には厳密かつ重要な使い分けがされています。

行の数が\(m\)で、列の数が\(n\)の行列を「\(m\)行\(n\)列の行列」or「\(m \times n\)行列」と言います。上の例について言うと、左から順に「\(3 \times 3\)行列」「\(3 \times 2\)行列」「\(2 \times 2\)行列」となります。

ここで、例えば「行の数」は、行を構成する数字の数(横の数)でなく、シンプルに行数(縦の数字の数)を表すことに注意しましょう!

行列を構成する要素の1つ1つのことを「成分」と呼びます。成分は左上からの位置を座標のように用いて表現します。

上から\(i\)番目(\(i\)行目)かつ左から\(j\)番目(\(j\)列目)の要素を「\(i\)行\(j\)列成分」or「\((i,j)\)成分」といいます。上の例の一番左の行列について言えば、\((3,2)\)成分は、上から3番目、左から2番目の「5」になります。
$$
A=
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 4 & 0 \\
2 & 3 & 8 \\
7 & 5 & 4
\end{array}
\right)
$$
行列は上のように大文字アルファベットで表される場合が多い(てかほとんど)です。
中身の値などを具体的に定めない、抽象的な行列は次のように表されることもあります。
$$
A=
\left(
\begin{array}{ccc}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}
\end{array}
\right)
$$
\(i\)行\(j\)列成分を、添え字を使って「\(a_{ij}\)」と表すのも基本です!
$$a_{(上からi番目)(左からj番目)}$$
下の例について考えると、「\(a_{23}=8\)」と言った風に表現できます。
$$
A=
\left(
\begin{array}{ccc}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
a_{21} & a_{22} & a_{23} \\
a_{31} & a_{32} & a_{33}
\end{array}
\right)=
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 4 & 0 \\
2 & 3 & 8 \\
7 & 5 & 4
\end{array}
\right)
$$
さらに!
行列が持つ行数や列数までも具体的に定めない、抽象性を極めまくった行列は以下のように表されます。
$$A=\left[a_{ij}\right]$$
(丸括弧)を使うと、行列なのか他のものなのか区別しにくくなるので、こういった場合は[角カッコ]を用いる例が多い気がします。

ちなみに、上の式が持つ情報は

  • 行列\(A\)というのがあってだな…
  • 行列\(A\)を構成する\(i\)行\(j\)列成分を、記号\(a\)を用いて「\(a_{ij}\)」という形で表現するのじゃ…

の2つくらいしかありません。

行ベクトルと列ベクトル

1行しかない行列を「行ベクトル」、1列しかない行列を「列ベクトル」と呼びます。
$$
行ベクトル→\left(
\begin{array}{ccc}
a_{11} & a_{12} & a_{13} \\
\end{array}
\right) \\
列ベクトル→\left(
\begin{array}{ccc}
a_{11} \\
a_{21} \\
a_{31}
\end{array}
\right)
$$
ベクトルというのは、前の記事で少しだけ登場しました。
線形代数の世界では、行か列のどちらかが1つしかない数の並びを「ベクトル」と呼びます。
シンプルに「方向と長さ」を表していた高校のときと違って、ベクトルが表現するものは必ずしも方向と長さに限りません。

また、ベクトルは基本的に太字で表します。
$$\boldsymbol{a}=\left(
\begin{array}{ccc}
2 & 3 & 1 \\
\end{array}
\right)$$
高校まで主流だった、文字の頭上に矢印を置く記法(\(\vec{a}\))はあまり使われません。

行列同士が等しいとき

今後、行列は1とか-3.5みたいな数(スカラー)と同じく、足し算などの計算の材料に使われます。
その前段階として、等しい2つの行列とはどんなものかということを押さえておく必要があります。

2つの行列が等しいとき

$$A=[a_{ij}],B=[b_{ij}]$$
という2つの行列がある時、「\(A=B\)」と言って良いのは以下に掲げる2つの条件を共に満たす時です。

  • 行列の列数と行数が一致する。
  • 対応する成分の要素が全て同じ(\(a_{ij}=b_{ij}\))

例えば、次の3つの行列
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 1 & 1 \\
3 & 6 & 9 \\
5 & 3 & 2
\end{array}
\right),
B=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 1 & 1 \\
3 & 6 & 9 \\
5 & 3 & 2
\end{array}
\right),
C=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 1 \\
3 & 6 \\
5 & 3
\end{array}
\right)
$$
について、「\(A=B\)」こそ成り立ちますが、「\(A=C\)」は成り立ちません。
\(A\)と\(C\)は左側の成分こそ合っていますが、何より両者の行列のサイズが異なるからです。

色々な行列

行列の中には、その形や性質に応じていくつかの名前が付けられているものがあります。

零行列

全ての成分が0の行列です。行数・列数がなんだろうが、全ての成分が0なら零行列と呼ばれます。基本的に\(O\)という記号を用います。
$$
O=\left(
\begin{array}{ccc}
0 & \ldots & 0 \\
\vdots & \ddots & \vdots \\
0 & \ldots & 0
\end{array}
\right)
$$
行列内に書かれているドット達は「同じのが個数指定なしでずっと続く」くらいに思ってもらえれば結構です(要は全部0です)。

正方行列

行の数と列の数が同じ行列です。簡単に言えば正方形の行列です。
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 1 & 1 \\
3 & 6 & 9 \\
5 & 3 & 2
\end{array}
\right),
B=\left(
\begin{array}{ccc}
6 & 3 \\
7 & 4
\end{array}
\right)
$$
行(or列)の数が\(n\)個だと、「\(n\)次の正方行列」と呼ばれます。上の例だと、\(A\)は3次の正方行列、\(B\)は2次の正方行列です。
行と列の数が同じだと議論の展開が簡単なので、今後出てくる行列のほとんどが正方行列です。

単位行列

正方行列の中でも、対角線上にある\(i\)行\(i\)列成分(対角成分と呼びます)が全て1で、それ以外の成分が全て0の行列を「単位行列」と呼びます。
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 1
\end{array}
\right),
B=\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 \\
0 & 1
\end{array}
\right)
$$
上の例では\(A\),\(B\)で表していますが、単位行列は\(E\)で表すのが普通です。

今後、行列同士の掛け算について学習するのですが、単位行列はどんな行列と掛け算をしても、その答えが掛けた行列になる(\(AE=A\))性質を持ちます。一般的な数(スカラー)でいう「1」みたいなポジションに立つ行列です。

転置行列

ある行列の行と列を入れ替えた行列のことです。
$$
A=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 1 & 1 \\
3 & 6 & 9 \\
5 & 3 & 2
\end{array}
\right)
$$
を例にすると、\(A\)の転置行列\({}^t\!A\)は以下のようになります。
$$
{}^t\!A=\left(
\begin{array}{ccc}
4 & 3 & 5 \\
1 & 6 & 3 \\
1 & 9 & 2
\end{array}
\right)
$$
要は対角成分を境にクルリと反転させた行列になります。
当たり前のように書きましたが、\(A\)の転置行列を表す時は、\({}^tA\)という風に、記号の左上に\(t\)を付します(これにも色々な流派があるのですけどね…)。

おわりに

今回は、線形代数の基本である「行列の定義と色々な行列」について扱いました。この記事に出た用語や行列は本当に基本中の基本ですので、絶対に覚えてくださいね!(もっとも、やっていくうちにいやでも覚えます笑)

次回の記事では、行列を使った足し算や掛け算のルールについて詳しく解説します!

行列を使った演算>>