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おぐえもん
大学に通う理系学生です♪Webサイトやチラシ、冊子などのデザインや、システム開発などの経験があります。音楽が好きで、渋谷系サウンドが好物です!
たぶん今すぐ使えるテクニックから、きっと全く使えない豆知識まで。

【線形空間編】部分空間と生成系

ある線形空間の中にある小さな線形空間(部分空間)の解説をします。

おぐえもん

本カテゴリ
線形代数の要点などを見やすくまとめた、大学1回生・再履修したアホ向けの学習コンテンツ。おおよそ1年生前期〜後期の授業で学習する範囲を扱います。

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

前回の記事では、行列を使ってある基底から別の基底を作る方法を解説しました。

今回は、線形空間の中にある小さな線形空間(部分空間)のお話をしたいと思います。

それでは始めましょ〜!

目次(クリックで該当箇所へ移動)

部分空間

ある線形空間\(V\)の中から適当なベクトルを集めて部分集合\(W\)を作ってみたら、実はその集合自身も線形空間だった!なんてことがあります。このような\(W\)を、\(V\)の部分空間と呼びます。

\(W\)が\(V\)の部分空間である条件は、\(W\)が空集合ではなくて、かつ\(V\)の演算ルールが\(W\)の上で線形空間の7条件を満たしていることです。

しかし、\(V\)が線形空間ならば、その演算ルールは概ね線形空間の条件を満たしているはずなので、実は次の条件をチェックするだけで大丈夫です。

部分空間の条件

\(F\)上の線形空間\(V\)の部分集合\(W\)が\(V\)の部分空間であるための必要十分条件は、次の3つを全て満たすことである。

  1. \(W\)は空集合でない。つまり、\(W\neq\phi\)である。
  2. \(\boldsymbol{a},\boldsymbol{b} \in W\) ならば \(\boldsymbol{a}+\boldsymbol{b} \in W\)である。(和の演算で閉じている)
  3. \(\boldsymbol{a} \in W, \ \lambda \in F\) ならば \(\lambda\boldsymbol{a} \in W\)である。(スカラー倍の演算で閉じている)

※\(F\)はスカラーの集合のことで、実数や複素数の集合である。

簡単に言えば、\(W\)内の任意のベクトルで演算した時、その結果が常に\(W\)の中にあれば\(W\)は部分空間と言えるわけです。

条件2と3をまとめて次のように書くこともあります。

任意の\(\boldsymbol{a},\boldsymbol{b} \in W\)と任意の\(\ \lambda,\mu \in F\) について \(\lambda\boldsymbol{a}+\mu\boldsymbol{b} \in W\)である。

有限生成な部分空間と生成系

適当なベクトルの1次結合で部分空間を作る

部分空間の簡単な作り方の話です。ざっくり言えば、ある線形空間の中からテキトーに何個かのベクトルを持ってこれば、それらのベクトルの1次結合全体の集合を作るだけで部分空間を作れるのです。

有限生成な部分空間

集合\(V\)は\(F\)上の線形空間であり、\(\boldsymbol{a_1}\)〜\(\boldsymbol{a_r}\)は\(V\)の中にあるベクトルである。このとき、\(\boldsymbol{a_1}\)〜\(\boldsymbol{a_r}\)の1次結合全体の集合、つまり$$W=\{x_1\boldsymbol{a_1}+x_2\boldsymbol{a_2}+…+x_r\boldsymbol{a_r} \ ; \ x_1,…,x_r \in F\}$$は、\(V\)の部分空間である。

実際、任意の1次結合同士で和やスカラー倍を計算しても結局は1次結合の形になる、つまり絶対に1次結合全体の集合の中に含まれるので、↑の成立を確認できます。

このような部分集合\(W\)は特に\(\boldsymbol{a_1},…,\boldsymbol{a_r}\)によって生成された部分空間と呼びます。そして、ベクトル\(\boldsymbol{a_1}\)〜\(\boldsymbol{a_r}\)を\(W\)の生成系と呼びます。

生成系と基底の違い

ここで、「生成系」と「基底」って一緒じゃない?と思った方もいるでしょう。生成系は、部分空間をとにかく作る\(V\)内のベクトルの組のことを言い、ぶっちゃけ\(V\)からテキトーにベクトルを選べば生成系を作ることができます。一方、基底は、生成系の中でも選んだベクトルの組が1次独立であるもののことを言い、テキトーにベクトルを選んだだけじゃ基底にならないこともあります。

1次独立であるかどうかの違いは、あるベクトルを成分表記するときに、同じベクトルを複数通りの書き方で記述できてしまうか否かに関わります。「\((1,2)\)と\((3,4)\)は実は同じベクトルなんだ!」なんて状況は明らかに不便なので、そんなことが起きない「基底」の方が生成系の中でも使い勝手が良いです。

基底の補充定理

今度は親の基底の話です。部分空間の基底に、適当(テキトーではない)なベクトルをいくつか加えることで、親の線形空間の基底を作ることができます。

基底の補充定理

次元\(n\)の線形空間\(V\)の基底について考える。\(W\)を\(V\)の部分空間とし、その次元\(\dim W\)は\(r\)(ただし\(r\)は\(n\)未満)とする。さらに、ベクトル\(\boldsymbol{a_1}\)〜\(\boldsymbol{a_r}\)を\(W\)の基底とする。

このとき、\(n-r\)個の\(V\)のベクトル\(\boldsymbol{a_{r+1}}\)〜\(\boldsymbol{a_n}\)を適当に選ぶことで、\(n\)個のベクトル\(\boldsymbol{a_1}\)〜\(\boldsymbol{a_n}\)を\(V\)の基底にすることができる。

「補充定理」なんて呼ばれているのは、まさに部分空間の基底に、適当なベクトルを「補充」することで、親の線形空間の基底を作ることができるからなんですね。

これの証明は多分授業で先生が張り切って板書してくれると思うのでそちらを聞いてください。せっかくなので概略を言うと、\(W\)の基底だけで表現できない\(V\)内のベクトルを\(W\)の基底に加えると、「基底&新しいベクトル」の組は1次独立になるので、今度は「基底&新しいベクトル」で表せないベクトルを持ってきて…ってのを次元が\(n\)になるまで繰り返します。

おわりに

今回は、線形空間の中にある小さな線形空間(部分空間)について学習しました。
次回の記事では、線形空間における内積に関することを解説したいと思います!

線形空間におけるベクトルの内積・大きさ・なす角>>