【行列式編】連立方程式の解と行列式
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
前回の記事では、連立方程式の解を行列式で表現する式で、式の形こそ美しいものの計算量の多さからあまり実用的でない「クラメルの公式」というものを扱いました。
今回は、連立方程式の解について、行列式の値と紐付けながら考えていきます。ちなみに行列式編は今回でラストです!
行列式×連立方程式の解
ここでは、連立方程式の係数行列を扱いますが、行列式を導出できるように、係数行列は無理やり正方行列にした上で扱います。つまり、式の数と変数の数が異なるときは、数の多い方に合わせて、足りない部分にを補い正方行列の形にします。
について
連立 1 次方程式が 1 組しか解を持たないことは、が正則であること、すなわちが存在することと同値でした(この理由は以前の記事を参照あれ)。
そして、が正則であることは、行列式がでないことと同値でもありました(これもまた以前の記事)を参照あれ)。
以上から、次のことが言えます。
連立 1 次方程式の解が 1 組のみ
つまり、連立方程式の係数行列に対して、その行列式の値を求めることで解が 1 組か否かが判るわけです。
行列式がである場合は、「解の組が無数にある」か「解が存在しない」かの二択になります。
について
先ほどよりも限定的な場合について考えましょう。同次連立 1 次方程式についても先ほどの理論が当てはまるので、解が 1 組であることと、であることは同値になります。
ここで、同次連立 1 次方程式は絶対に自明解を持つことを考えると、同次連立 1 次方程式については、自明解の観点から次のことが言えます。
同次連立 1 次方程式が自明解しか持たない
絶対にを解として持つ性質より、の場合の可能性について、一般的な連立 1 次方程式と異なり、「解が存在しない」可能性を排除できるので、「解の組が無数にある」場合しか存在しないことになります。
よって、次のことも成り立ちます。
同次連立 1 次方程式が非自明解を持つ
同次連立 1 次方程式の場合は、行列式の値から、解が 1 組なのか、はたまた無数なのかが判るのです。
おわり
以上の話から、行列式がか否かというのは、対応する連立方程式の解の個数に大きく関わることがわかりました。
行列式は、計算の分量こそたくさんありますが、値の示唆する内容が多岐にわたるため、線形代数の幅広い場面で登場します。多分今後の記事でも行列式を扱うことになると思います。それではまた会いましょう(・3・)ノ。