岡寺|日本初の厄除け寺院!(西国#7・奈良)
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
西国三十三所巡礼記、7 回目は、第七番札所の岡寺(奈良県)です!
岡寺とは?
岡寺(おかでら)とは、奈良県の明日香村にある寺院です。正式な名前は東光山真珠院龍蓋寺なのですが、「岡」という地名にあることから古くより岡寺と呼ばれています。
今や厄除けを目的としてお寺へ行く人はたくさんいると思いますが、岡寺はそうした厄除け参りがはじまった日本最古のお寺であると言われています。
岡寺は、明日香村中心部の東よりにある山の中腹に位置します。明日香村は飛鳥時代の名の由来であるように、古くは日本の首都でした。そのため、周辺にはキトラ古墳や飛鳥寺(日本初の本格的な仏教寺院)など、ものすごく歴史の深いものが溢れています。
岡寺のここがすごい!
日本最古の厄除け寺院
冒頭でも述べましたが、岡寺は日本で初めての厄除け寺院であると言われています。岡寺での厄除け参りの霊験が記されている最古の書物は、古典の授業でおなじみの『水鏡』であり、鎌倉時代初期には既に岡寺への厄除け参りの文化が存在していました。
今も厄除けを願うべく多くの参拝者が訪れます。
土でできた日本最大の仏像
岡寺の本尊は、木でも銅でもなく、粘土でできています。土で作られた像を「塑像」と言い、奈良時代に盛んに作られました。岡寺の本尊も奈良時代のもので、1200 年以上の歴史を誇ります!また、高さが 4.85 メートルもあり、塑像の中で日本最大です。礼拝しながら眺めることができるどっしりとした白いお姿は、迫力がありながらもどこか独特な雰囲気を放ちます。
さらに、本尊は「如意輪観音」という仏(厳密には菩薩)です。ほとんどの如意輪観音像は腕が 6 本あるのですが、岡寺の本尊は如意輪観音でありながら腕が 2 本しかありません。腕が 2 本の如意輪観音像は、国内に 2 つしかない(もう一つは西国 13 番の石山寺)ため、大変貴重です!
公共交通での行き方
岡寺の最寄駅は、近鉄「岡寺駅」です。しかし岡寺駅から岡寺へ直接行けるバスがないので、隣の「橿原神宮前駅」で降りるのがオススメです。
近鉄「橿原神宮前駅」下車、奈良交通「橿原神宮前駅バス停」の東口 2 番のりば発着のバスに乗り「岡寺前」下車、徒歩 5 ~ 10 分。
バスは平日も休日も日中は 1 時間に 2 本くらい出ています。バス停から岡寺までの間に、普段歩き慣れていないとキツい険しい坂道があります。
私は、旅程の都合上、バスを待ってられなかったので、レンタサイクルを使いました(笑)自転車だと、約 20 分で到着します。ちなみに駐輪場は坂道の途中にあります。
橿原神宮前駅の東口で緑色の自転車を借りられます!(1 日 900 円)ネットに 200 円引のクーポンがあるので有効活用しましょう ♪
明日香レンタサイクル
明日香村の周辺は、古墳をゴロゴロ見つけられるくらいのどかな場所です。
ここが岡寺のある、明日香村大字岡。
バス停とお寺の間の細い道のりなのですが、写真では伝わりにくい勾配があって登るのは少し大変です。(下の写真は歩いてきた道を見下ろした図)
旅行記
仁王門(重要文化財)
岡寺の入り口(仁王門)です。1612 年に建てられたもので、重要文化財に指定されています。屋根の直下にある木彫りの彫刻が特徴です。
境内の様子
岡寺は、山の中腹にあるため、境内に高低差があります。仁王門を抜けた先に高い石垣がはばかるのですが、所狭しと並ぶ岩や緑が無機質な壁を風流な庭園の形に仕立て上げます。
階段を少し上ると、本堂などが軒を連ねるメインフロアに着きます。画像中央部の大きな建物が本堂。その左が開山堂。一番左にある朱色の建築が楼門です。
本堂と本尊(重要文化財)
こちらが岡寺の本堂。日本最大の塑像である本尊などが安置されています。19 世紀前半の完成。大仏が収められているだけに非常に大きく、圧倒的な存在感を放ちます。また、本堂の内部に入って様々な寺宝を見ることができます。
お堂の正面には窓が開いていて、お堂の外からでも本尊の如意輪観音像を垣間見えます。塑像ならではの白いお姿と、険しい目つきが印象的です。本尊は重要文化財に指定されています。
開山堂
こちらは、本堂の左側にある開山堂です。阿弥陀三尊が祀られています。元は談山神社(当時は多武峯妙楽寺というお寺でした)にありましたが、廃仏毀釈運動の影響か、明治 4 年に岡寺へ移築されました。桧皮葺きの屋根と木材の深い色合いが趣を感じさせます。
誰でも撞ける岡寺の鐘
本堂の向かいには鐘楼堂(鐘が収められた建物)があります。この中の鐘は 1808 年製。多くの寺院では戦時中に鐘が金属供出されてしまいましたが、岡寺では金属供出を免れて今に至っています。
岡寺の鐘は、誰でも自由に撞くことができます。多くの寺院では関係者しか撞けないので、これまた珍しいです。除夜の鐘の騒音問題が取り沙汰されるこのご時世ですが、明日香の村には長い歴史における寺社との付き合いの中で培われた寛容さがあるのでしょうか。
鐘には厄落としのご利益があるのか、厄除鐘という名前が付けられています。明日香の静寂すぎる空間に響き渡る、決して重くない上品な音色は格別でした。
514年ぶりにできた三重宝塔
本堂のあるエリアとは少し外れたところに三重宝塔があります。もともとの三重塔は 1472 年に倒壊し、そこから実に 514 年が経過した 1986 年に再建されました。比較的新しい建築なので塗装の色のムラも少なく、深紅の色味が気品を出しています。
三重塔から本堂のあるエリアを概観することができます。改めて本堂の大きさを実感することができます。
終わりに
岡寺は、都会の寺院にはない静寂に包まれた場所であり、落ち着いた気持ちで参拝に臨むことができました。
次回は、古くから数ある寺院の中でもボス級の存在として平安貴族をはじめ多くの人々から熱く信仰されてきた大寺院、西国第八番「長谷寺」です!