醍醐寺|京都最古の五重塔と秀吉が造った庭園(西国#11・京都)

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

西国三十三所巡礼記、11 回目は第十一番札所の醍醐寺京都府)です!

醍醐寺とは?

醍醐寺総門

醍醐寺(だいごじ)は、京都府京都市伏見区にある寺院です。清水寺や金閣寺などとともに「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されています。豊臣秀吉が死の直前に催した一世一代の大宴会「醍醐の花見」の舞台として有名です。

醍醐寺は、醍醐山の麓にある「下醍醐」と、山頂付近にある「上醍醐」の 2 つに分かれています。

醍醐寺の中でも、上醍醐の准胝堂が西国三十三所の第十一番札所です。しかし、准胝堂は 2008 年の火災で焼失してしまったため、現在は暫定的に下醍醐の奥にある「観音堂」にて御朱印をいただくことができます。

Google Map を東に辿ると、醍醐寺のピンからかなり離れた所に「上醍醐」のピンがあります。上醍醐と下醍醐は、徒歩で 1 時間ほどかかる険しい山道で隔たっていて、准胝堂の焼失までは西国三十三所巡礼最難関の札所でした。

私が参拝した 2018 年 12 月は、近畿地方で猛威を奮った台風 21 号による被害の影響で上醍醐への入山が禁止されていました。そのため、本記事には下醍醐の情報しかありません…

醍醐寺のここがすごい!

豊臣秀吉が死の直前に造った庭園

醍醐寺三宝院庭園

三宝院にある庭園「三宝院庭園」は、1598 年に最晩年の豊臣秀吉が作ったもので、秀吉自ら縄張り(基本設計)をしたと言われています。豊臣秀吉は、同年 3 月に醍醐寺で大宴会「醍醐の花見」を開き、その 5 ヶ月後にこの世を去ります。

秀吉が死の直前に造園した渾身の力作を国宝建築から眺めるという最高に尊い経験ができる唯一の空間です!

京都最古の木造建築「五重塔」

醍醐寺五重塔

醍醐寺の五重塔は、平安時代真っ盛りの 952 年に建立されました。これは現存する京都府の木造建築の中で最古です。

ちなみに、1000 年以上前に建てられて未だ現存する五重塔は、法隆寺五重塔(飛鳥時代)、室生寺五重塔(800 年頃)とこの醍醐寺五重塔の 3 つしかありません。めちゃくちゃ貴重!

公共交通での行き方

醍醐寺の最寄駅は、京都市営地下鉄東西線「醍醐駅」です。

公共交通機関で向かう方法

京都市営地下鉄東西線「醍醐駅」下車、東へ徒歩 10 分。

醍醐駅と醍醐寺の間は宅地化されていて、なんでもない新興住宅の間を縫うことになります。迷う可能性が高いので Google Map などを駆使しましょう!

旅行記

総門

醍醐寺総門

こちらが、醍醐寺の入り口です。前を通る道(旧奈良街道)が狭く、正面の道も決して大きくないので、初めて来た時は本当に正門なのか怪しみました(笑)

醍醐寺総門から続く道

総門を入ると、仁王門までの太くて長い直線的な道に圧倒されます。道の左側には、庭園で有名な三宝院が、右側には文化財が並ぶ霊宝館があります。仁王門の奥には本格伽藍が並ぶ伽藍エリアがあります。

この写真からでも醍醐寺の広大さに圧倒されますが、これはまだまだ醍醐寺のほんの一部に過ぎません。

三宝院(重要文化財)

醍醐寺三宝院

醍醐寺のメインコンテンツの 1 つ、三宝院は醍醐寺の座主(トップ)が居住する場所で、1115 年に醍醐寺第 14 世座主・勝覚僧正が創建しました。

現在の建物は 1598 年のもので、重要文化財に指定されています。画像は屋根の曲線美が輝く圧倒的スケールの大玄関です。

醍醐寺三宝院庭園を表書院から眺めたもの

三宝院からは特別名勝に指定されている三宝院庭園を眺めることができます。三宝院の建築の中で、石庭を眺められる部分(画像左部)を「表書院」と呼び、国宝に指定されています。内部は撮影禁止なので写真はありませんが、豪華絢爛な襖絵が煌めく豪華な空間でした。

三宝院唐門(国宝)

醍醐寺唐門

三宝院の拝観受付所の少し右にある門。1599 年建立なのが頷けるザ・桃山建築って感じのド派手なデザインが特徴で、国宝に指定されています。元々は朝廷からの使者を三宝院に迎える門として使われていました。

2010 年に解体修理されたので、完成当時のような輝きを放ちます。

醍醐寺三宝院表書院から見た唐門

唐門は三宝院庭園と繋がっていて、三宝院表書院からその裏側を眺めることができます。裏側もピカピカ!

仁王門(西大門)

醍醐寺仁王門

総門に入ってすぐの大通りの奥にある門で、伽藍エリアの拝観受付所を兼ねています。1605 年に豊臣秀吉の子・秀頼により作られました。

醍醐寺仁王門の金剛力士像

門の左右に安置されている金剛力士像は、平安時代の 1134 年に造られたものです。風化の産物なのか、木の色の濃淡によって像の陰影が際立っているのが印象的でした。

五重塔(国宝)

醍醐寺五重塔の接写

前述した通り、951 年に建立した京都府に現存する最古の木造建築で、国宝に指定されています。現代人の私が見てもそのスケール感に驚くのに、一千年前の人々はこの塔を前にしてどう感じたのでしょう…

五重塔の内部には、塔が完成した当時に描かれた両界曼荼羅が描かれており、「五重塔初重壁画」として国宝に指定されています。壁画は普段は非公開で、毎月 29 日に行われる五重大塔開扉 納経法要で写経を納めたときのみ見ることができます。

金堂(国宝)

醍醐寺金堂

簡単に言うと、醍醐寺の本堂です。1600 年に和歌山から移築されたもので、国宝に指定されています。広い空間の中で堂々と佇みます。

中には、醍醐寺の本尊である薬師如来坐像が安置されています。薬師如来像と、その左右にある日光菩薩像と月光菩薩像は鎌倉時代に造られたもので、重要文化財に指定されています。

清滝宮(重要文化財)

醍醐寺清滝宮

醍醐寺の鎮守社(お寺に附属する神社)です。室町時代の 1517 年に建てられた重要文化財です。清滝宮は上醍醐にもあり、そちらの建築は国宝です。

観音堂

醍醐寺観音堂

伽藍エリアの奥にあります。醍醐天皇の千回忌を記念して 1930 年に建てられました。西国三十三所の本来の札所である上醍醐准胝堂が焼失してからは、仮の納経所が設営されており、各種御朱印はここで戴くことになっています。

醍醐寺観音堂の入り口

入り口は、正面から向かって左側の裏側にあります。正面は閉じられているので注意!

弁天堂

醍醐寺弁天堂

観音堂と同じく 1930 年にできました。池をはさんでお堂が設けられているのは、弁財天が祀られているお堂によくあるスタイルです。朱色が綺麗なインスタ映えスポット。

台風21号の影響

醍醐寺の台風被害(伐採された木々)

醍醐寺は、2018 年に近畿地方を襲った台風 21 号により大きな被害を受けました。台風の上陸から丸 1 ヶ月が経過するまで伽藍エリアの入場が禁止され、上醍醐への入山禁止が解除されたのは丸 7 ヶ月後でした。(私が参拝した当時も上醍醐へ行けませんでした)

上の画像は、かつて鬱蒼とした森林が広がっていましたが、台風で倒木が相次いだために軒並み伐採せざるを得なくなりました…

これが台風上陸前の姿。私は数年前にも醍醐寺へ行ったことがあったので、その変わり果てた姿に驚くばかりでした。

醍醐寺の台風被害(仁王門奥の参道)

森林の真横にある、仁王門から伽藍エリアの中心まで続く直線路です。森がなくなったことで空が広くなっていました。

森林の再生には並々ならぬ年月が必要だと思いますが、かつての姿を再び見られる日が訪れることを心から祈ります。

醍醐寺は魅力の総合デパートでした!

醍醐寺仁王門の裏側

醍醐寺の魅力は、季節を彩る木々と花々、霊宝殿で見られる貴重な彫刻・絵画など、記事で扱ったもの以外にも本当にいっぱいあります。庭園、伽藍、仏像・絵画、自然をことごとく満喫できる総合力の高さに驚きと感動を覚えました。

1 つのお寺に行っただけなのに、まるで複数のお寺に行ったような充実感を得られるのが醍醐寺の最高の魅力です。

次回は、バス停から 50 分の登山が始まった、滋賀の秘境にある西国第十二番「岩間寺」です!

▲ トップへ戻る