三室戸寺|名物のあじさいと不思議な神様(西国#10・京都)

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

西国三十三所巡礼記も 10 回目となりました。今回は第十番札所の三室戸寺京都府)です!

三室戸寺とは?

三室戸寺(みむろとじ)は、京都府宇治市にある寺院です。寺伝では 770 年に光仁天皇の勅願で「御室戸寺」として創建されたのがはじまりとされています。

現在の西国三十三所巡礼では 10 番目のお寺ですが、西国三十三所巡礼がはじまったばかりの頃(1200 年頃)は最後(33 番目)のお寺でした。

三室戸寺の庭園は有名で、「あじさいのお寺」としても知られています。

三室戸寺のここがすごい!

風光明媚な大庭園

三室戸寺庭園の入り口

三室戸寺の名物が三室戸寺庭園。エリア毎にツツジ、シャクナゲ、あじさい、モミジなどが植えられている自然豊かな大庭園です。特にあじさい園は有名で、三室戸寺そのものが「あじさい寺」と呼ばれるくらいです。6 月中旬〜下旬の土日はあじさいのライトアップも行われます。

ちなみに、庭園以外でも本堂のあるエリアでハスの花が綺麗に咲き誇ります。

三室戸寺庭園の自然

私が行ったのは、年末の真冬だったので、お花周りは完全にオフシーズンでした笑

しかし、石庭や池泉も充実していて、真冬でも日本庭園の美しさを十分に堪能することができました。

様々な運を授ける神様と動物たち

三室戸寺の狛蛇と狛兎と狛牛

三室戸寺の本尊は千手観音ですが、本堂の周りには他ではあまり見られないユニークな像が狛犬のように置かれています。その見た目から、左から順に狛蛇、狛兎、狛牛と呼ばれています。

それぞれが異なるご利益を授かるとされていて、さらにどれも干支の動物をモチーフにしていることから、その干支の年には多くの方がご利益を求めるそうです。

それぞれの像について、後ほど詳述します!

公共交通での行き方

三室戸寺の最寄駅は、京阪宇治線「三室戸駅」です。大阪や京都から行く時は、中書島駅で、宇治行きの電車(日中は 10 分に 1 本)に乗り換える必要があります。

公共交通機関で向かう方法

京阪宇治線「三室戸駅」下車、東へ徒歩 15 分。

JR だと奈良線の宇治駅が最寄りですが、30 分くらい歩くので、京阪がオススメです。

三室戸寺参道の分岐にある石碑

駅からお寺までは、看板や標識に従えば迷うことはありません。道中の分岐点には古い石碑が参拝者を案内していました。

三室戸寺の参道

三室戸寺の参道には住宅がガッツリと並びます。

三室戸寺の入り口

三室戸寺の入り口です。拝観料は、あじさい園・つつじ園の開園期間か否かで異なります。

入り口から少し進むと、山門が現れます。シンプルな作りですが、お寺に来たことを実感させます。

旅行記

本堂

三室戸寺本堂

屋根が 2 段ある重厚な建築。現在の建物は 1814 年に再建されたものです。

中には、本尊の千手観音像がありますが、厳重な秘仏とされていて、2009 年に 84 年ぶりに公開されたのが最後です。

三室戸寺の本尊は、千手観音と称しながら腕が 2 本なのが特徴です。これは、創建に際して、右少弁犬養という人が川の淵で千手観音と出会い、川に飛び込んで観音様を抱きかかえたところ、観音様が 2 本の腕を持つ仏像と化したという伝説に基づきます。

普段は本尊の代わりに「お前立ち」という仏像が本堂に立っていますが、こちらも 2 本の腕を持ちます。

三重塔

三室戸寺三重塔

本堂に向かって右に進んだところに三重塔があります。1704 年にできた仏塔ですが、元々は高蔵寺(兵庫県佐野町)にあったもので、1910 年に移設されました。

三室戸寺三重塔と鐘楼

三重塔と本堂の間には同じく江戸時代に建てられた鐘楼が佇みます。鐘楼と三重塔のツーショットが閑静な寺院の雰囲気を伝えます。

十八神社(重要文化財)

十八神社

本堂の裏側に「十八神社」という神社があります。その本殿は小さな社ですが、室町時代後期の 1487 年に作られた歴史の深い建築物で、国により重要文化財に指定されています。

こけら葺きの屋根の絶妙な曲線美に惹かれました。

宇賀神

三室戸寺の宇賀神

おじいさんの頭とヘビの体を持つ、インパクト抜群の「狛蛇」です。宇賀神(うがじん)は、中世以降に信仰された神様ですが、頭部は爺さんだったり女性だったりと様々で、宇賀神自体の出自もはっきりしない何ともミステリアスな神様です。仏教寺院に神様が祀られているのも不思議ですが、江戸時代以前は神道と仏教が合体していた(神仏習合)ので、そういうものなんでしょう。

三室戸寺の宇賀神は、耳をさわれば福が来て、ヒゲを撫でると健康長寿、尻尾をさすると金運がつくと言われています。巳年に人気だとか。

福徳兎

三室戸寺の福徳兎

後述する「宝勝牛」と共に、本堂の前に佇むいわゆる「狛兎」です。兎が抱えるボーリング玉のようなものの中に空洞があり、そこにある卵型の黒石を立てることができれば、運気向上と足腰健全のご利益が得られるとされています。

ちなみに、三室戸寺がある地域一帯は古くから菟道(うじ)と呼ばれており、兎とのご縁があります。

三室戸寺の福徳兎にある卵?

頑張って卵を立てました!

宝勝牛

三室戸寺の宝勝牛

狛兎の右側にいるのは「勝運の牛」と掲げられた狛牛です。口内にある玉を触ると勝運がつくと言われています。

これは、百姓が弱々しい子牛を連れて三室戸寺へ観音詣に通っていたところ、ある日に牛が玉を吐いたのを機にみるみる元気となってついには闘牛に勝つまでになったという伝承に基づきます。

ちなみに、お腹の窓からは牛の木像を拝むことができます。

三室戸寺の宝勝牛の口内

口内にある石の玉は取り出せないように作られています。(当たり前ですが笑)

三室戸寺庭園『与楽園』

三室戸寺庭園のあじさい園

先述した通り、三室戸寺の名物です。上の写真の手前があじさい園で、奥がツツジ・シャクナゲ園です。撮影したのは 12 月末なので見事に何も咲いていないのですが、あじさいは 6 月、ツツジとシャクナゲは 5 月ごろに見頃を迎えます。

三室戸寺庭園には、冬でも楽しめます。庭園の北側には、石庭と池泉回遊式庭園(池の周りに園路を設けた日本庭園)があり、木々の葉が落ちきった冬場でも独特の魅力を放ちます。

三室戸寺庭園の石庭

石庭に根を張っているのは紅葉の木で、秋には葉が鮮やかに色付きます。

三室戸寺庭園の池泉

池泉に生える松の木は、非常に綺麗に形が整えられていて、全体的に美しい庭園の中でも特に目立っていました。こちらも秋には紅葉が彩りを与えます。

早朝の静寂の中で参拝するのもまた良い!

私が三室戸寺に到着したのは朝の 8 時半ごろ、ほぼ開門と同時でした。参拝者は私以外におらず、寺務の方もほとんど表に出ていませんでした(笑)

しかし、このような静寂だからこそ、心が落ち着いた状態で参拝を行い、感性を研ぎ澄ませながら庭園をはじめとする三室戸寺の自然を堪能することができました。

人気のお寺において、参拝者が僅しかいない中で参拝と境内散策を気の向くままにできるのは早朝だけ!読者の皆さんも早朝にお参りしてみるのはいかがでしょうか。

次回は、西国第十一番「醍醐寺」です!

醍醐寺|京都最古の五重塔と秀吉が造った庭園(西国#11・京都)
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