線形代数って何?
こんにちは、私はおぐえもん(@oguemon_com)と申します。
この連載では、理工系の大学生が 1 年次に受講する数学科目「線形代数」を解説します!
大学の講義は、論理を求めるあまり初学者にとって意味不明になりがちです。そこで、厳密さ以上に「やさしさ」を追求して、理解に必要な要点をまとめました。これで新入生だけでなく再履中のアホでも分かるはずです。
今回の記事は、そもそも線形代数とは何かという話しか扱いません。線形代数の基本事項をざっくり復習したい人は次のページをご覧ください。
また「この単元を勉強したい!」って方は、以下のリンクから該当する記事をお探しください。本連載では様々な単元に関する40 以上の解説記事が揃っています。
それでは、頑張って一緒にお勉強しましょう ♪
線形代数って何?
初めて線形代数に触れる人にとって、そもそも「線形代数って何?」って感じですよね。
線形代数とはズバリ、線形写像の性質について色々考える数学の一分野です!
…と言われても意味が分からないですよね(笑)
とりあえず、今は行列というものをひたすらイジる分野という認識で大丈夫です。今度は「行列」という言葉が登場しましたので次項でそれを説明します。
行列って何?
日常でも「行列のできる法律相談所」みたいな感じで「行列」という言葉を使いますが、数学ではその意味が大きく変わります。
簡単に言えば、数字を四角に並べたもののことです。例えばこんなの ↓
たくさんの数字がありますが、これで 1 つの行列です。
そして、行列には、足し算・掛け算などの計算ルールが今までと異なる形で独自に用意されています。線形代数は、この「数字の並び」に対して足し算・掛け算などの計算を繰り返すことで、行列が持つ性質を探っていきます。今まで扱ってきた「」「」みたいな単体の数字(スカラーと言います)とは違った世界をお楽しみいただけるかと思います。
何に役立つの?
理工系の学生は、大学に入っていきなり線形代数なんて聞いたこともない学問を習わされる羽目になるわけですが、これには理由があって、ズバリ数学の中でも応用が効く分野で、世の中でバンバン役に立っているからなんですよね。
例えば、線形代数(行列)は、こんなところで活用されています。
- 画像処理・3次元データ処理(回転とか拡大とか)
- Googleのサイト評価システム(PageRank)
- 統計学
- 量子力学
他にも数多くの技術が線形代数の恩恵を受けています。てか線形代数がないとこの世の便利なものはほとんど無くなります(笑)
連立方程式との関連
線形代数では行列という全くもって新しいものを扱うわけですが、当然ながら、行列は何もないところから降って湧いてきたものではありません。
実は、行列は連立方程式と深く関わっています。というのも、行列は、連立方程式を簡単に書くために生み出された経緯を持つのです。
上の連立方程式は行列を使って以下のように表すことができます(計算ルールは今後の記事で分かります)。
このように、連立方程式の係数(やに掛けられている値)が行列になるんだと考えると、これから習う内容の辻褄が合って感動します。というか、行列を使った方程式を解くことは、連立方程式を解くこととほぼ同じなんだと覚えておいてください。
そして、ここで主に扱う連立方程式は、やなどの変数が常に 1 次である(累乗していない)ことにも注目です。
1 次式が持つ比例関係みたいな関係性を線形性と言います(厳密には違いますが詳しい話が後に出てきます)。このように考えると、「線形」代数の言葉の意味をイメージしやすくなると思います。
線形代数とベクトル
上の式での
は数字が縦横のどちらかにしか並んでいません。そのようなものをベクトルといいます。
高校までのベクトルは「向きと長さ」を表す存在でした。しかし線形代数の世界ではより抽象的に、数字がひと並びになっているものをベクトルと呼びます。ベクトルもまた数字の並びですので、行列の一種として扱われます。
ベクトルもこれからバンバン出てきますので、是非ともお見知りおきください〜!
おわりに
この記事では、そもそも線形代数とは何かについてゼロから説明しました。これから私と一緒に線形代数のお勉強を始めましょう!!
次回の記事では、行列の定義と、行列周りで用いる専門単語を扱います。
行列の計算方法や、連立方程式との関係、行列式・逆行列の求め方など、40 以上の記事を用意しています。