【考案者は天才】よく考えたら興味深さしかない発明・回転寿司(#37)

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

人類の文明ができて久しいですね(神目線)。

人類は長らく、狩猟・採集や農耕メインで生きてきましたが、ここ数百年で科学と法の概念が確立して、それからと言うものの信じられないくらい急速な発展を遂げました。

スマホ、パソコン、インターネット…ハイテクノロジーすぎるものが当たり前かのごとく身の回りに溢れる現代。飽食の我々はもはやちょっとやそっとの進歩では驚かなくなりました。

しかし、身の回りに溢れる様々なものを 1 つ 1 つ丁寧に眺めると、「これ考えた人、天才じゃね?」と思うものに時々出会います。

今回は、私が最近感動したよく考えたら革新的すぎる発明を紹介します。

今ある文明は、先人たちが閃いたアイデアとそれを実現するための圧倒的な努力のもとに存在していることを実感していきましょー!

回転寿司

それは回転寿司です。さすがにみんな知ってると思いますが、回転寿司を知らない人(海外の人など)のために動画を置いておきます ↓

これ、普通に考えて意味不明じゃないですか?

大人しく飲食店をやってたら、作った料理を直接 or 店員さんを使ってお客さんの元へ届ける。この方法で十分満足じゃないですか。現に今でもほとんどの飲食店はその形態を採っています。

しかし、なぜか寿司の世界だけは、長いベルトコンベアを使って離れた場所に座るお客さんに料理(寿司)を届けるという謎のシステムがあって、しかもそれが全国的に普及していて老若男女に浸透している。みんな、もっとこの不可解な状況と近未来的で画期的すぎるシステムに疑問を呈するべきです。

回転寿司が生まれたのは、今から 60 年以上前になる 1958 年の東大阪。当時は、集団就職の時代で、工業地帯である東大阪には出稼ぎの若者が数多く働いており、飲食店は大繁盛でした。そんな中で、東大阪の板前・白石義明(1913-2001)は、ひっきりなしにやってくるお客さんを効率的にさばくために、握った寿司を機械が運ぶ方法を模索、ベルトコンベアを使った方法を発明・実用化しました。関西の方ならご存知の「元祖廻る元禄寿司」ですね。

回転寿司って、ベルトコンベアで寿司が流れるという発想以外にも、面白い点がいくつかあります。

来店したら既に寿司が流れてる

ベルトコンベアの意義は、配膳の機械化。ならば、注文してから、注文した寿司だけを流したらええやないか。なのに、お店に入った時点で既にたくさんの寿司が流れています。ただでさえ寿司って生ものなのに、目の前を誰も頼んでいない寿司がひたすらに流れてるのって、不思議じゃないですか?

たぶん、ベルトコンベアを寿司が流れているというインパクトを来店した瞬間から味わってもらいたい意図なんでしょうが…

回転◯◯は、なぜか寿司の世界でしか普及してない

ベルトコンベアのメリットは、寿司以外にも応用できるはずです。というか、寿司は鮮度が命なので、ちんたらしたベルトコンベアはむしろ不利だと思います。なのに、ベルトコンベアを使った飲食店は未だ寿司の外を出ていません。

回転 ◯◯ は、次の条件を満たすものに有利だと思います。

  • 小さいもの(ベルトコンベアを細くできてコストを抑えられる)
  • 鮮度が重要視されないもの(ベルトコンベアの輸送速度は遅い)
  • 注文の頻度が高いもの(ベルトコンベア上の密度を高められる)

これを踏まえると、イートインのパン屋やスイーツ専門店で、パン・スイーツを小柄にしてベルトコンベアで流すのとか、セルフタイプの串カツ屋や焼き鳥屋でもいけそうな気がするのですが、どうですか??

回転寿司という狭いフィールドで今も発展を続けている

回転寿司って、そもそもが突飛かつ革新的なものなので、今でも回転寿司屋って次々に革新的なシステムを導入していますよね。

「寿司をベルトコンベアで流す」という大前提に立って、その中でいかに効率を上げていくか。大手各社の熾烈な競争の中で独自の尖った発展をしているのが見ていて面白いです。

以下、賢いと思ったシステムです。

  • 2車線のベルトコンベア
    • 寿司をベルトコンベアで運ぶ発想があったら自ずと浮かぶアイデアですが、これを実現まで持っていくのが回転寿司業界。しかも、新設レーンの輸送スピードが速すぎる。従来レーンとの圧倒的な差別化ができていて、寿司輸送が最適化できているのもすごいなって思います。
  • 皿の色で値段が分かるやつ
    • 単純ながら賢い仕組み。これも意外と回転寿司以外ではあまり見ない気がします。回転寿司屋って本来「ベルトコンベアで寿司を運ぶ」ってのが特徴なのに、「料金が一律または数段階しかない」という単純明朗な会計ルールも暗黙の前提になってますよね。
  • 皿の数を数える方法
    • くら寿司では「皿カウンター水回収システム」と呼ばれるアレを使って、スシローでは専用の定規で詰まれた皿の高さを測ってお皿の枚数を集計しますよね。どちらも長所があっていいなと思います。
    • くら寿司の皿カウンター水回収システムは、お皿の集計だけでなく、皿の回収の手間すら省きます。2 つの課題を 1 つの手法で解決する。優れたアイデアの典型例です。一方のスシローも、ローテクながら瞬時に枚数を集計できる手法で費用対効果が抜群なので素晴らしいと思います。
    • どちらの手法も、実現できる理由は皿の形状が画一だからです。何事も、効率を追求するためには単純化と画一化が重要であることを教えてくれます。

疑問を次々に産む存在・回転寿司

回転寿司って、考えれば考えるほど疑問が出てきます。この記事、本来は回転寿司以外にもいくつかの発明を書こうと思ったのですが、書いていく中で興味深いことが次々と浮かんで 1 本分のボリュームになりました。

ここまで書いておきながら、今もなお「回転寿司って、寿司が周回で移動しているだけなのに、何が『回転』なんだ?」って疑問に思ってます。私たちは山手線や大阪環状線を「回転電車」なんて言わないのに、なぜ環状のレーンを走る寿司は回転寿司なんだ?

みなさんも、回転寿司に足を運んだ際は、寿司を味わうだけでなく、回転寿司というシステムそのものの凄さと、同時に現れる謎をともに噛み締めてみてください。

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