【初心者用】年末調整、これだけは押さえておけ!

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

会社員/アルバイターのみなさん、秋から冬にかけて、↓ こんなことになってる人、いませんか?

  • 秋に「年末調整の書類」とやらを提出しろと総務に言われた。
  • 12月の給与明細を見たら、「年末調整還付額」なる項目があって謎のお金がもらえた

秋から冬に「年末調整」という言葉が耳に入るようになります。しかし、会社は学校は年末調整とは何なのか教えてくれません。税や社会保険料の話は、詳しく教えると国や会社にとって不利なので、わざわざ教えないんですね。

そこで今回は、私が代わりに年末調整とは何かをざっくり解説します。

ただ教えるだけだと税理士さんのサイトと何ら変わりません。この記事では、年末調整を全く知らない会社員/アルバイターのために、最低限押さえておくと良いラインに絞りました。

年末調整とは

簡単に言うと、給料を払う人(会社側)が、会社員/アルバイターの所得税額を年末に計算して、その年の間に徴収した税金との差を調整する手続きのことです。年末調整は、雇用されて働く人に適用される話で、フリーランスにとってはほぼ無関係の話です。

年末調整を理解するためには、「所得税」と「源泉徴収税」の 2 つを押さえておく必要があります。どちらも簡単なので、ざっと説明します。

所得税とは

所得税は、読んで字の如く、所得に応じて課される税金です。消費税がお金を消費するときに課されるように、お金を手に入れるときにも税金が課されるんですね。

所得税は、1 月〜12 月に手に入れた金額の合計に応じて、その年の税額が決定します。つまり、年末にならないとバシッと税額が定まりません。

税額を決定させるために翌年の 2〜3 月に税務署へ「確定申告」という手続きをして、その後(3〜4 月頃)に税金を振り込むのが納税の基本的な流れです。

しかし、確定申告には

  • 正直超めんどくさい(私たち、税務署の方ともに)
  • (国にとって)税収のタイミングが3〜4月に集中する
  • (国にとって)税金がきちんと支払われない可能性がある

といったデメリットがあります。

源泉徴収税とは

所得税のデメリットの一部を補うために導入されているのが源泉徴収という仕組みです。

源泉徴収を端的に言うなら所得税の前払いです。本来は翌年にまとめて納税すべき所得税を、給料が入ったタイミングでその都度納税する仕組みです。ここで納税されるお金は実質的に所得税ですが、区別できるように源泉徴収税という名前がついています。

源泉徴収税は、会社が給料から勝手に天引きして、これを税務署に納めます。給与明細に「所得税」や「源泉徴収税」の名目で天引きされているお金が、これに該当します。

源泉徴収の仕組みによって、

  • (国にとって)税収のタイミングが3〜4月に集中する
    • 一年を通じて安定して税収が入る。(給料の度に納入されるので)
  • (国にとって)税金がきちんと支払われない可能性がある
    • 税金が確実に払われる。(個人でなく会社が払うので)

って感じでデメリットがうまいこと補われます。

所得税と源泉徴収税の帳尻あわせが年末調整

源泉徴収税は所得税の前払い。つまり最終的に「源泉徴収税=所得税」でなければなりません。

給料から天引きされる源泉徴収税は一定のルールに即していますが、「この調子で給料をもらったら今年の所得税はこんなもんになるやろ」という予測に基づく概算にすぎません。

年末になると、その年の総収入 → 収めるべき所得税額が確定します。ここで、今までに徴収した源泉徴収税の総額と実際にかかる所得税額の差を埋め合わせる手続きを年末調整といいます。

多くの場合、源泉徴収税の総額の方が大きいです。年末調整をサボると国が得する仕組みです。多くの場合、徴収し過ぎたお金は、年末調整が済んだ後に支給される 12 月分の給料で返してもらえます。

これが、12 月の給料で、「年末調整還付額」なる名目のお金がもらえる理由です。

年末調整のありがたいところ

サラリーマンやアルバイターにとって、年末調整はありがたい存在です。お金がもらえるから?んなわけねえだろ!勝手に取られた金が戻ってきただけだろが!!

面倒な確定申告の手続きを回避できることこそが、ありがたいポイントです。

原則、所得税を払うには所得税額を確定させるための確定申告という手続きが必要です。しかし、確定申告は、自分の収入などをちまちま計算して、↓ のフォーマットにひたすら数字を埋めて、これを税務署に提出するという面倒な手順が必要です。そして税の知識が乏しかったら難しいです(税務署職員のサポートもあるけど…)。

一方、年末調整は、原則としてそれだけで納税の手続きが完了します。面倒なことは会社がやってくれるので、収入が給与所得くらいしかないサラリーマンやアルバイターは、簡単に納税を済ませることができます。

ちなみに、そもそも年末調整の対象外であるフリーランスはもちろん、会社員でも副業収入が大きい人や本業収入が 2 千万円を超える人などは確定申告が不可避です。手続き頑張りましょね〜。

お金が帰ってくる例

年収 320 万円の A さん(独身・東京在住・東京勤め)を例にして、お金が返ってくる場合を見てみます。

A さんの年収構成は、月 20 万円の給料40 万円 ×2 回の賞与とします。

ちなみに、源泉徴収税や所得税の金額は、私が作った Web サービス「簡単!ザックリ手取り給料計算機」で概算できます!

Aさんの源泉徴収税

この時、支給の度に徴収される源泉徴収税はざっくり次の通りです。

  • 20万円の月給に課される源泉徴収税額は、約3,740円
  • 40万円の賞与に課される源泉徴収税額は、約13,986円

よって、1 年間の給料から取られる源泉徴収税額は、

約 3,740 円 ×12 か月+約 13,986 円 ×2 回=約 72,852 円

Aさんの所得税

所得税の計算は、月々のお金とか関係なしです。1 年間に手に入れた金額、それだけです。

なんやかんや計算すると、年収 320 万円の A さんの所得税は約 60,000 円になります。

年末調整の結果12月給与で返ってくるお金

A さんの所得税は、約 6 万円なのに、今までに源泉徴収税として約 72,852 円も取られていることが分かりました。

したがって、差額の約 12,852 円が A さんの元へ返ってきます。

こんな感じで、年末調整によってまあまあのお金が戻ってきます

年末調整で配られる「あの紙」の正体

サラリーマンのほとんどは、年末調整に先立つ 11 月ごろ、会社の総務から「年末調整のためにこの書類を提出してくれ」とお願いされると思います。

これらの書類、全部あなたの税金を安くするために存在しています!めんどくせえなぁと放置していると、無駄に高い税金を払うハメになることがあるので、大人しく必要事項を記入しましょう。

ちなみに、年末調整で提出する(できる)書類は ↓ の 6 つです(記入例などは国税庁サイト参照)。

  • 扶養控除等申告書(全員必須
  • 基礎控除申告書(事実上全員必須
  • 配偶者控除等申告書(人による)
  • 所得金額調整控除申告書(人による)
  • 保険料控除申告書(人による)
  • 住宅借入金等特別控除申告書(人による)

扶養控除等申告書

勤め先から「ええから記入せい」と渡されるあの紙です。

これ、提出が必須です。なぜなら、この書類の提出が年末調整のエントリー条件だからです。

この書類では、自分に扶養親族などが存在することを申告します。扶養親族とは、ざっくり言うと収入が一定以下の(自分が養っている)親族(子供など)のこと。養っている家族がいると税金がちょっと安くなるので、正直に書かないと損です。

ちなみに、提出必須なので独り身の人間も書類を書いて提出する必要があります。ただし、記入するのは ↓ の赤枠部だけで OK なのでラクです。

基礎控除申告書

2020 年の年末調整から出現した新書類です。提出必須なのですが、事実上提出必須です

この書類は、基礎控除の額を申告する書類です。基礎控除とは、所得が 2500 万円以下の全ての人に適用される税金の値引き要素です。基礎控除によって、税金計算に用いる金額が自分の所得に応じていくらか減ります。

年収 2400 万円越えの超高年収サラリーマン以外、48 万円引きです。しかし、それはこの書類を提出してはじめて適用されます。これが事実上提出必須である理由です。これを提出しないと超もったいないです。というか会社から提出しろと言われると思います。

そして、実は ↓ の赤枠のところしか記入しなくて OK です。ラクだね!

その他の申告書

残り 4 つの書類は、提出すべきか否かは人により異なります。

配偶者控除等申告書

配偶者(夫/妻)を持つ人(つまり既婚者)が、配偶者の収入の見込み額などを申告します。配偶者が一定以下の収入ならば配偶者控除/配偶者特別控除が適用されて税金が安くなります。実は「基礎控除申告書」の右半分の部分です。

所得金額調整控除申告書

本業の収入が850万円を超えている人が、一定条件を満たす親族の存在などを申告します。一定条件を満たすと所得金額調整控除が適用されて、税金が安くなります。実は「基礎控除申告書」の下部です。安賃金で働くアタシらには関係ない話じゃい!

保険料控除申告書

保険に入っている人が、その保険料を申告します。一定条件を満たす保険の保険料に対して、生命保険料控除などが適用されて、税金が安くなります。保険に入っている人は、その保険が控除対象なのか要チェックです!!

住宅借入金等特別控除申告書

前年以前に確定申告をして住宅借入金等特別控除の適用を受けた人が、引き続きこの控除を受けられる条件にあることを申告します。すると、前年と同じく住宅借入金等特別控除が適用されて、税金が安くなります。

まとめ

年末調整について、アホでもわかるレベルで解説しました。

年末調整は、サラリーマンにとって所得税納付までの手続きを大きく楽することができるありがたい制度です。

年末調整に際して提出する書類は、全て自分の税金を安くするために存在します。面倒臭がらずに記入しましょうね〜。

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