【ボーナス】社会人の常識、賞与から引かれる金額と内訳
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
夏のボーナス(=賞与)のシーズンが始まりました。ボーナス事情は会社や雇用契約により異なりますが、月給とは別にたくさんのお金が貰えるなんて、時給バイトが当たり前の学生からは考えられない神イベントです。
さて、ボーナスも月給と同じく色んなお金が天引きされて手元に届きます。ところが、振込額に一喜一憂して、勝手に取られたお金に見向きもしない非常識な社会人がいるとか…。
そこで今回はボーナスから引かれているお金についてザックリ解説します。ボーナスの天引き額を抑えるテクもあるよ。(情報は2024年6月現在のもの)
ボーナスから引かれる"国のサブスク四天王"はこいつらだ!
なんか国などから定期的にお金が徴収されるのって、サブスクみたいな感覚がありますよね。「国」というサービスは、その国にいるだけで利用者として扱われ、給与に応じて利用料が請求されるのです。
ボーナスから天引きされるお金の種類は、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、源泉徴収税の4つです。前の3つはいわゆる社会保険料と総称されるものです。ちなみに40歳以上なら介護保険料(ボーナスの約1%の天引き)も加わります(この記事では説明を割愛しています)。
厚生年金保険料
いわゆる「年金」ってやつです。ボーナスが支給されるようなサラリーマンはまず厚生年金保険に入っています。この保険料をボーナス額に応じて払わなければなりません。
この保険料、ボーナス額(1000円未満は切り捨て)の18.3%もかかります!
え?ほぼ2割も取られるのって?安心してください。厚生年金保険料は、会社とワリカンするので、自己負担は9.15%のみです。残りはボーナス額とは別に会社が払います。それでもボーナス額が50万円なら4万5千円以上もかかります(涙)
まあ、厚生年金保険料は払えば払うほど老後にもらえるお金が増えるので頑張って払ってください。
健康保険料
これは、よく言う病院の料金が3割になるやつです。自分が負担しない残りの7割はみんなの保険料などから出ています。
この保険料は、ボーナス額(1000円未満は切り捨て)の9.3%〜10.5%程度です!これもまた会社と折半なので、自分の負担はボーナスの5%ほど。昔の消費税くらい!
厚生年金保険料と違って、保険料率が一律ではありません。自分が加入する健康保険の胴元(健康保険組合)によって率が異なるからです。多くの人が入っている全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険は、都道府県の支部ごとに保険料率が違います。例えば、新潟県は9.35%ですが、佐賀県の10.42%もします。
大きな企業は、社員が対象の健康保険組合を自前で作れます。しかも保険料率をその組合が決められるので、社員への福利厚生のため率を低く設定していることが多いです。例えば、トヨタ自動車健康保険組合の保険料率は8.3%で、どの都道府県の協会けんぽよりも安価。さらに自己負担と会社負担の比率も1:1でなく、「自己:会社=30:53」です。自己負担が3%なんて、協会けんぽのおよそ40%OFF。天下のトヨタに勤める人は羨ましい限りです。
健康保険料は、たくさん納めたからと言って、3割負担の「3割」がより安くなるものではありません。多く納めた方が得な場面がなくもないですが…。
雇用保険料
万が一会社をクビになって失業してしまっても、働いた当時の給料の5〜8割に相当する失業給付金がもらえるやつです。
この保険料は、シンプルに**ボーナス額の0.6%**です(農林水産・清酒製造・建築系は0.7%)。ボーナス50万円に対してたったの1500円!ちなみに、会社はこれとは別に0.95〜1.15%のお金を納めています。
雇用保険は、他の社会保険よりも恩恵を受ける場面が限られるので、保険料が安く設定されています。厚生年金保険と同じく、納める額が多い(給料が多い)ほどもらえる失業給付金が大きくなります。
源泉徴収税
新社会人の中には耳馴染みのない言葉かも知れません。これは、簡単にいうと所得税の先取りです。
所得税は、国民の収入に応じて課される国税です。これは、1月〜12月の収入を翌年の2〜3月に税務署へ確定申告して、そこで計算される課税額を納入する流れになっています。
しかし、この「確定申告」は私たちも税務署の人もかなり面倒ですし、税が集まる時期も偏ります。そこで、会社からの給料以外に大した収入のない大半の国民は、会社からの給料が出る度にそれっぽい額がリアルタイムで徴収される仕組みができました。そこで徴収されるのが「源泉徴収税」です。年末になると源泉徴収税の納付総額と実際の所得税額が比較され、その差分が返還 or 追加徴収されることで、所得税を納めたことになります。
ボーナスにかかる源泉徴収税の金額(上で言うそれっぽい額)は、ボーナスから社会保険料(上述の3つ)を引いた金額に対してある税率(0%〜46%程度)を掛けた額になります。ここで登場する税率は様々で、その決定には主に3つの要素が絡みます。
- 甲 or 乙
- 税額の計算条件には、甲と乙の2種類があります。これは簡単に言うと、「メインの勤め先か」です。メインの勤め先なら甲で、それ以外は乙。ふつう副業しないと乙のお世話にはなりません。乙は、甲よりも税率が圧倒的に高いです(ザックリ倍くらい)。
- 扶養親族の人数
- 扶養親族とは、専業主婦の妻や子ども(16歳以上)など、大きな収入がなく自分が養っている状態にある親族のことです。この人数が多いほど、税率が低くなります。「家族を養うのにお金がかかるだろうから多少はまけてあげるわ」という国のちょっとした優しさです。
- 前月の給料
- 前月の給料から社会保険料を引いた金額が、税率の算定にダイレクトに関わります。「x円以上y円未満なら税率はz%ね」と言う感じで決まります。
ボーナスの税率には前月の給料が関係します。よって、前月の給料を少なくすると源泉徴収税額も減ります。例えば、前の月の残業量を抑えることで、ボーナスの天引き額を削減できるのです。これが天引き額を抑えるテクです。
しかし、年末になると月収もボーナスも関係なく「1年間の総所得」が計算されて、それに応じて導出された所得税額と源泉徴収額の差額が調整されます。よって、ボーナスの天引き額削減は目先のメリットしかありません…。
ちなみに、税率の計算は、国税庁のページにある「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使えば誰でも簡単にできます。みんなも挑戦してみよう!
住民税は取られないの?
住民税(道府県税・市町村税)は、前年の収入に応じて税額が決定して、それを6月〜翌5月に分けて納税する性質の税金です。
この住民税、ボーナスに対してはかかりません!
と言うのも、月々に支払っている住民税額は、その月の収入に応じて発生しているのではなく、既に決定した総額を12等分して毎月支払っているからです。
ちなみに、新入社員の方の多くは「前年の収入」が十分にないので、(バイトガチ勢を除いて)そもそも住民税は非課税です。しかし、2年目以降は毎月の給料から住民税を取られることになるのを覚えておきましょう(収入によりますが、毎月8000〜9000円くらい取られます。)。
結局どれぐらい取られるの
次の画像は、前月の給料が25万円だった人がボーナスを50万円もらった時の手取り金額です(実際はもう少し細かい条件がありますが…)。ザックリ9万円くらい天引きされてます!
月収が25万くらいならば、ざっと2割くらいのお金が引かれます。これに加えて、「消費」をするときは10%のお金(消費税)が引かれるんだから、実に稼いだ額の3割くらいが徴収されてるわけです。こりゃたまげたなぁ。
ところで、上の画像、ボーナス額に対して天引き額の内訳などがわかりやすくまとまってて凄く便利そうですね。
これは、「簡単!ザックリ手取り給料計算機」といって、簡単な情報を入力するだけで、天引きされる社会保険料額や税額を概算してくれる便利なWebサービスです。作者はおぐえもん(@oguemon_com)という方だそうです。こんな便利なものを作ってくれる良い人がこの世にいるものなんですね。みなさんも、ぜひとも使ってみてくださいね!
てな感じで、雑な宣伝で記事を締めます。