偶然!ある間違いから名前が変わった身近な生き物とは?

皆さん、「誤植」とはご存知でしょうか?誤植とは主に本の中で見られる文字の誤りのことです。本来、活版印刷(文章を金属製のハンコみたいなもので並べて印刷する手法)時代における、植字(ハンコを並べること)のミスに由来する言葉だそうです。

「誤植」は印刷の世界に生きる人にとって、何としてでも避けなければならないもの。出版物の信頼に大きく関わる他、何より印刷してしまったら修正が効きませんもんね。

そんな性質から、誤植が起きたら次の版で修正され、その影響が最小限に抑えられるのが当たり前ですが、過去には誤植がキッカケでとんでもない世間の変化をもたらした例があるそうです。

「誤植」の Wikipedia ページには、言葉の由来や「誤謬」との差異などの興味深い説明と一緒に、「誤植の例」なる項目が並んでいます。

『生物学語彙』
ゴキブリは、かつては「御器齧り(ゴキカブリ)」等と呼ばれていた。しかし、1884 年(明治 17 年)に岩川友太郎が書いた日本初の生物学用語集『生物學語彙』では、最初の記述には「ゴキカブリ」とルビが振られていたものの、2 か所目には「ゴキブリ」と書かれ、一文字抜けていた。この本は初版しか発行されず、間違いを訂正することができなかった。その後 1889 年(明治 22 年)に作られた『中等教育動物学教科書』にも「ゴキブリ」と記述されてしまい、この間違いは、以降の教科書や図鑑にも引き継がれてほとんど全ての文献に「ゴキブリ」と書かれ、和名として定着した(→#定着した誤植)。

出典:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/誤植

マジかよおい!!!

どうやら「ゴキブリ」って言葉は明治時代に生じた誤植によって生まれた言葉なんだそうです。

確かに、カブト虫やクワガタとか、大抵の虫って名前からそれなりの意味を連想できるのに対して、ゴキブリって何故こんな意味不明な名前なのかと思ったことがありましたが、まさかこんな背景があったなんて…

ちなみに、全ての元凶である『生物學語彙』は、ネット上で公開されています!

サイト内で「インターネット公開(保護期間満了)」となっているものは、転載 ok とのこと。

せっかくなので、ここで誤植の瞬間を確かめたいと思います。

まずは、表紙。「AT TOKIO」(TOKIO=東京)という表記が歴史を感じさせます。

どうやら、生き物を紹介するというよりも、英語の訳を列挙する辞書的位置付けの書物みたいです。

ゴキブリの英訳には「cockroach」や「blattaria」があります。まずは初めに登場する「blattaria」を探します。

ありました!蜚蠊属ゴキカブリ)と、(当時の)正しい名前が記されていました。ちなみに blattaria(blatta)って厳密にはゴキブリでなく、ゴキブリが所属するカテゴリーを指すみたいですね(そんなカテゴリーを想像したくありませんが…)

では、もう一つの「cockroach」を調べてみましょうか。

画面右部の真ん中あたりにありました!

確かに「蜚蠊ゴキブリ)」になってます!!

これがまさに 「ゴキブリ」誕生の瞬間 です。

そんなこんなで、誤植が日常生活にまで影響が及ぶ例をご紹介しました。

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