東大生研のデザイナー・山中俊治教授の展示会が興味深かった(「未来の原画」展)

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

東京・駒場の東京大学生産技術研究所で行われている山中俊治教授・山中研究室の展示会「未来の原画」展に行ってきました!会期が12/4(日)までなので結構滑り込みです。

山中先生は、日本を代表する産業デザイナーの一人で、Suicaの改札機など身の回りのデザインを数多く手がけてきた方です。そんな山中先生が、今年度をもって東大を退官されるということで開催された最終講義ならぬ最終展示がこの企画です!

今回は、素人ながら実際にこの目で見てみて面白かったポイントを書きたいと思います。

実際に行ってきました!

会場まで

場所は、東京都目黒区にある東京大学駒場リサーチキャンパスです。生産技術研究所が入っているキャンパスで、東大の新入生が通う駒場キャンパスの2つ隣にあります。

入って早々、キャンパスのシンボルである13号館(登録有形文化財)と向き合います!日没後に行ったので、窓の光と月の光がいい感じに暗いキャンパスを照らしていました。

東大駒場リサーチキャンパス13号館

キャンパスの正門から入って一番右奥の建物が会場でした!平日だけど学生を中心に結構な数の人がいました。

会場入口近くの窓

スケッチ群

入って早々、山中先生が長年描き溜めてきたスケッチの数々が目の前に広がります。ラフなスケッチから本格的な絵まで様々でした。

エントランスにあるスケッチたち

画像は、(描いたときにとっての)未来をイメージしたさまざまなスケッチ。右上にはSuicaの改札機をデザインするのに際して描かれたタッチ部のスケッチがあり、タッチ部を斜めにすることによる効用をイメージしているように見えます。

人が物事を整理するために自分の考えを言語化するのと同じように、新しい見た目のデザインを生み出す過程で脳内のイメージを積極的に絵に起こして整理しているのでしょうか。とにかく手を動かすことで物事を前に進める姿勢が感じられました。

また、山中先生は学生時代に漫画を描いていただけあってめっちゃ絵心あります。新しい見た目を形作る上でデッサン力も必要なのかな〜

同じ素材なのに硬さがやたらリアルな腕

この展覧会では、3Dモデルで使われてそうな樹脂を活用した作品が数多くありました。

これもその一つです。見た通り腕の模型なのですが、全部樹脂でできているとは思えないくらい場所によって硬さが違うのが特徴です。

Shape of arm

腕は、硬さの異なる複数の材料(骨とか脂肪とか皮とか)の組み合わせて構成されていますが、それを樹脂という1材料で表現できるかという挑戦でもあるようです。実際、材料の違いからくる硬さの違いを、樹脂の厚さ・細さを巧みに調整することで見事に表現していて、腕感がめっちゃありました。

ただデザインをするだけでなく、こうしたマテリアルの可能性を追求してみる取り組みも行っているところから、大学の研究基幹らしさが垣間見えます。

神社のデザイン

本展示会は、山中研究室の展示会でもあるので、卒業生が手がけるプロジェクトの展示もあります。

これは、北九州市の和布刈(めかり)神社のプロジェクトです。

和布刈神社のプロジェクト

まずビックリしたのが、神社も今やデザイナーの手で自身のデザインを洗練させていってるということでした。デザイナーは、日本古来の美しさを見つめ直して、それを現在の私たちに伝える役割も果たしてるんですね。担当領域広スギィ!

和布刈神社のロゴタイプ(筆文字)や紙袋に作られるアイコンたちは、どれも過去の文書にあったものに細かい調整が加えられているようです。

奥に見える八重梅の紋も、無数の正円や線が緻密な計算のもと形作られているようです。多くの紋は江戸時代以前からありますが、どれも当時からこうした幾何学的な形を組み合わせて作られていて、幾何学的な美しさが太古の昔から日本人を魅了し続けてきたのが分かります。

立とうと頑張る木

めっちゃ実験作みたいなものもありました。画像は、木に機械を取り付けたものですが、機械は、なるべく木を高いところへ持っていこう(=木で自立しようと)とあれやこれやと動きます。

頑張って立とうとする木

AIによる制御なのですが、教師データもなく自身の経験のみに基づいて制御されているので、動きはかなりぎこちなくて、全然立ちません(私が会場にいる間は一度も立ちませんでした)。

当然何度も倒れるんですが、その度に床の薄っぺらい板がべしーん!!と音を立てていたので、会場にいる人の注目を集めまくってました笑

壁の穴をすり抜けるために物体が動くやつ

四角が行く

「四角が行く」と題されたコレは、いろんな形の穴の空いた壁が左から右に次々と流れてくるのですが、3つの物体がその時々で穴をすり抜けるために転がったりスーって並行移動して自身の配置を調節します。

壁の穴にあわせて配置を変える物体

あまりにも壁穴に対してジャストサイズですり抜けるのでちょっと感動しました。

この作品は常に小学生が張り付いていて、四角形が転がってうまく壁穴をすり抜けるのを見るたびに、「やっぱ東大ってスゲー!!」って叫んでました。これを原体験にして10年後に東大行ったら激アツ。

他にも色々ありました!

他にも、

  • 東大生産技術研究所のロゴ(1953年の文書にあるやつを引用したらしい)
  • パラ選手のために作った義足(めっちゃカッコイイ)
  • 筆先が回転して字が書けない筆(現役生の作品らしいすご!)
  • 家のデザイン(こんな感じで家って建てるんだ!)

など、色々な作品があってめっちゃ見応えありました!!

そして、耳で感じたことで言えば、会場内の作品たちが音を立てて動いていたのも印象的でした。ある作品は常にモーターをウィーンって回転させ、あるものは転がる度にバタンバタンと床音を立てる。これらが組み合わさって会場は小さな工場のような音が鳴り響き、机上のデザインだけでなく実体を扱う工学の研究所であることを強く印象付けてました。

これを見て行きたくなった方は、↓のサイトを見て、明日・明後日に行ってみてください!(12/4(日)が最終日です!)

http://www.design-lab.iis.u-tokyo.ac.jp/exhibition/final/

明日・明後日に行けるかー!って方は、たぶんインスタにいっぱい画像が上がってるんで、調べてみると良いですよ!

またどこかの展示会に行ったら記事を書きます。

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