【あたしンち】25年前に幻になった新田の悲しすぎる初登場回(単行本未収録)

70 億人のあたしンちファンのみなさん、こんにちは。おぐえもん(@oguemon_com)です。

今回はあたしンちマニア向けの記事です。

あたしンちの登場人物に、新田という子がいます。彼女は、主人公・みかんの部活の後輩で、いかにもオタクな見た目とは裏腹に、部活で唯一カレシがいるのが特徴です。

新田は、アニメと原作マンガで、登場時のエピソードが異なることで有名(?)です。しかも、原作での登場シーンはなぜか単行本未収録で、新聞連載時の初登場エピソードは今や幻です。

私は先日、ある方法(後述)を用いて新聞連載時の幻のエピソードを読みました。そこで得た知識を交えて、新田の初登場シーンを「アニメ」「原作(単行本)」「原作(新聞連載)」の 3 つに分けて紹介します。

アニメの初登場シーン

アニメ版(2002 年〜2009 年)の初登場エピソードは、2002 年 10 月 11 日に放送された、「みかんセンパイっ」です。このエピソードは、私が運営しているあたしンち紹介サイトにも取り上げています。

この話はスペシャル放送の時に放映されたもので、他と違って、Amazon Prime Video などで配信されていません。原作のみならずアニメの初登場シーンすら幻に包まれています。

ストーリーは、後輩のいないベア研の部員が後輩を妄想する話(原作 2 巻 No.6)と、実際に部室にきた新入生の新田を部員がもてなす話(原作 2 巻 No.7)の 2 話で構成されています。この 2 つの話を繋ぐ一場面で、しみちゃんから「友達の知り合いの 1 年生」という紹介を受けて、みかんは新田を知ることになります。ここで、しみちゃんと新田の関係性はアニメ独自のものであり、原作では 2 人の間に一切の関係が明かされていません。

また、アニメは放送が秋だったからか、文化祭直前の季節が舞台で、新入生が入部するには若干遅い時期です。

原作(単行本)の初登場シーン

原作単行本の初登場シーンは「原作 2 巻 No.7」です。このエピソードは、ベア研に入部した新入生の新田はリアクションの薄い掴み所のないタイプの子で、みかんがものすごく気を遣いながら必死でもてなす話です。ただし、アニメ版と違って入部までのシーンが描かれておらず、

「テディベア研究会」にひとりだけ
新田という新人が入部してきた…

と書かれた 1 コマが冒頭にあるのみ。

原作は、新聞連載時の初出が春だったこともあり、アニメと違って舞台は新年度(みかんが高 2 に進級した時期)に設定されています。

単行本では、2 巻の No.6 と No.7 でベア研の新人に関する話が連続しています。一方で、新聞連載時には両者の間に単行本収録が見送られた真の新田初登場回が挟まっていました。

原作(新聞連載)の初登場シーン

真の新田初登場回は、当時の新聞でしか見られない幻のエピソードです。しかし、完全に手が届かなくなった訳でなく、少し大きめの図書館へ行けば誰でも無料で読むことができます

少し大きめの図書館には、新聞のバックナンバーが置いています。多くの場合は白黒印刷された縮刷版の形で開架されていて、(図書館によりますが)誰でも簡単に明治以降の新聞を読むことができます。

私は、近くの市にある中央図書館へ行き、1995 年 4 月 9 日の新聞を閲覧して、当時のあたしンちを(白黒ですが)読んできました。この日の掲載エピソードこそ、新田の初登場回です。

エピソードはざっと次の通り。(カギカッコの中身は引用)

  • みかんの元に駆けつけたベア研の理央が「今日の部活は新人が来るよ!」と、新入生が部活の説明に来ることを伝える。これにみかんは、「夢の『後輩』ができるーっ♡」とテンション爆上げ。
  • 放課後、ベア研の部室に1年F組の新田と、同じクラスの宮沢がやって来る。2人は共に女の子で、宮沢は「キラキラ」しているのに対して、新田は「ぬぼ〜〜」としていて、雰囲気は正反対である。
  • 2人の自己紹介を受けて、部員一同「宮沢サンかぁ かわいい〜〜♡」と惚れ惚れ。一方、みかんは「新田は帰っていいぞ」と思いながら鼻息を立てる。
  • 宮沢さんは「やっぱ男のセンパイはいないんですかァ?」と尋ねる。ベア研に男はいないので、理央は「いないの」と正直に答える。
  • 理央の答えを受けて、新田が「があーん」と落ち込む。「そっか〜〜 青春かかってるからァ〜〜やっぱショックっす〜〜」
  • 部員一同が心の中で「おみゃーに青春なんてあんのかよっっっ!」
  • みかんは不安そうな顔をしながら「なんとか宮沢さんだけ入部してもらえないだろーか…」と悩む。
  • 部室を出て帰り道に、宮沢は新田に対して「なんかイマイチかも〜〜」「地味だしすっげー退屈しそォ」と本音を垂れる。
  • それを受けて新田は「あ、そ!?」「私はそーでもないかなーみたいな」とベア研に悪い印象を持たなかった様子。
  • 結果、新田は入部を決意。理央は「みかんたいへんたいへん」「新田のみ入部決定だって!」とみかんに伝え、みかんは「げびーっ」と驚愕する。

新田は宮沢というカワイイ(けど裏がある)同級生と一緒にベア研の見学に行くものの、ベア研のみんなは第一印象から宮沢さんだけに夢中で、みかんが「新田は帰っていいぞ」と思うばかりか、(入部して欲しくなかった)新田が入部してしまうことがオチになる。新田が初登場と思えないくらいヒドい扱いを受けています。

カワイイ設定の宮沢は、今後登場することがありません。彼女のビジュアルは、原作 2 巻 No.6 のクッキーを焼いてきた後輩に似ています(カチューシャは付けていない)。

ちなみに、先ほど掲載した原作 2 巻 No.7 の冒頭メッセージは、新聞連載時には

「テディベア研究会」に入部したのは
結局新田ひとりだった…

とあり、宮沢でなく新田のみが入部したことがベア研部員にとって不本意であることをほのめかしていました。

負の面もリアルに描くあたしンち

今後、みかんの唯一の後輩として結構な頻度で登場することとなる新田。にも関わらず、その第一印象でベア研のメンバーから敬遠される悲しすぎるスタートになってしまったことが、単行本に採用されなかった一因なのでしょうか。

しかし、今回のような話は(多くの人が口に出さないけど)人間関係を構築する中で少なからずあるもの。このような人間の少しブラックな部分にも触れる姿勢が、あたしンちの魅力のひとつである、登場人物のリアルな描写に繋がってるんだろうなと思いました。

ちなみに、私はアニメ「あたしンち」の原作エピソードや各話の小ネタなどをまとめたサイトを運営しています。よければ見てください!!

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