宅建の登録実務講習を修了したので一部始終と攻略法を書きます
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
2024年度の宅地建物取引士資格試験(宅建試験)で19万6千人の受験生を蹴落として合格を勝ち取りました。
そして先日、宅建士になるために必要なステップの1つである「登録実務講習」を受講して、修了試験を経て無事修了することができました🎉
宅建士になる人の多くが受講する登録実務講習は、分厚いテキストを使った約1ヶ月の自習と原則2日間の通学講習を経て修了試験に合格したら修了したとみなされます。
私の受講経験をもとに、登録実務講習がどういうものなのかと、その攻略法を書いていきます!
登録実務講習ってなに?
登録実務講習とは、不動産の素人が宅地建物取引士(宅建士)の資格を取得するのに必要な講習です。
宅建士は不動産取引の専門家であり、その資格の取得(≒宅建士の登録)には宅建試験の合格に加え、①宅建業の実務経験を2年以上有するか、②国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものとなる必要があります。(宅建業法第18条)
普段から不動産会社で宅建の仕事をガンガンやっている人は①にあてはまりますが、ズブの素人である私をはじめ少なからぬ人が実務経験を持っていません。そんな弱い私たちは②に当てはまる人間にならなければ宅建士になることができません。
では、どうすれば国交大臣にその能力を認めてもらえて②になれるのか。それが登録実務講習の修了です。
民間機関(資格予備校)が実施している特定の講習(国交大臣が登録した講習)を受講して修了すると、国交大臣はその修了生を②扱いしてくれて、宅建士の登録要件を満たすことができるようになります!(宅建業法施行規則第13条の16)
宅建士になる人の多くがこれから不動産業の仕事をガチるぞ!って方だと思うので、登録実務講習を経て宅建士の登録要件を満たすのはかなりメジャーな方法です。
登録実務講習の流れ
ざっくりと次のような流れで進みます。私の経験も書いていきます。
- 受講を申し込む
- 分厚い教材が届く
- 1ヶ月間の自習をする
- 2日間の通学をする
- 修了試験を受ける
- 「登録実務講習修了証」が届く
Step1. 受講を申し込む
登録実務講習は年中実施されていますが、みんな早く宅建士になりたいので、宅建試験に合格したら直近の講習を受ける人がほとんどです。
実務講習は、超早いものだと12月末から始まり、1〜3月あたりにたくさんの枠が開きます。
もし1月前半に受講したければ、朝9:30の合格後すぐに受講を申し込みましょう。早めの日程は瞬く間に埋まるので、次の日じゃダメです。いつやるの、今でしょ!
このように合格後すぐに申し込むのが定番ですが、実は合格発表の前から申し込みができるようになっている機関(資格予備校)があります。
- (例)LEC:https://www.lec-jp.com/takken/kouza/jitsumu/
- (例)総合資格学院:http://hotei.shikaku.co.jp/takken_jitsumu/
合格発表の前に申し込みをした場合、もし合格だとそのまま手続きが進み、逆に不合格だと登録実務講習の受講要件を満たさないので2,000円くらいの手数料を取られて自動キャンセルされるルールがメジャーです。
合格発表前に申し込むメリットは何よりも枠が空きまくってて日程と場所を自由に選べる点です。さらに、「早割」と称して受講料が値引きされているところもあります。これぞ余裕で合格する学力を持つ賢者だけが享受できる恵みです。合格している自信がある方にはオススメです。
私は、総合資格学院で申し込みました。LECやTACなどの大手が軒並み22,000円前後の受講料なのに対して、総合資格学院は20,500円とやや安いのが選択の理由です。
もちろん申し込んだのは合格発表前で、早割を効かせたことで18,000円で受講できました😉
Step2. 分厚い教材が届く
登録実務講習は、約1ヶ月間の自習と2日間の通学&修了試験で構成されています。
通学日の1ヶ月前くらいに自習と通学で使用するテキストのセットが配達されます。
結構パンパンで重みがあります。高校生が持ちがちなプラスチックのキャリングケースくらいのサイズです。
それもそのはず、めっちゃ分厚い教科書が入ってました!同封物は次のような感じです。
- 教科書(めっちゃ分厚い)
- 取引事例・資料集(中綴じできる程度の冊子)
- 練習問題集
これらを持って通学しないといけないなんて重たくて面倒だな〜
Step3. 1ヶ月間の自習をする
教材の到着から通学日まで通信講座として自習をするように促されます。
え?あの分厚いテキストを使って4週間にわたり46時間(=10+12+13+11)も勉強しないといけないの??
ただでさえ仕事が忙しいのに、46時間も時間を割くことできんのか!?
しかし、私は知っていました。登録実務講習の合格率が99.9%以上であることを。(LECの場合)
いくら登録実務講習の受講者があのクソ難しかった宅建試験を通過した秀才たちだとしても、さすがにその99.9%以上が自習をキッチリやっているとは思えません。どうせノー勉でも2日間の通学さえガチれば及第点を得ることくらい決して難しくないはず。
そう考え、「通学のときに本気出す」と誓ったのでした。
Step4. 2日間の通学をする
登録実務講習の本番とも言える通学日です。家に届いた教材を持っていくのは当たり前ですが、筆記用具を意外と忘れがちなので注意しましょう!
講習の概要
講習は普通は2日あります。メジャーなものは2日連続ですが、予定がつかない方に向けて1日目と2日目が飛んでいる講習も存在します。
さらには、忙しすぎる人のために1日間のコースを提供しているところもあります。1日間のコースは朝7:30から22:00くらいまでぶっ通しで行うハードモードになっています。これを受けざるを得ない人って社長か芸能人か何か?
私が申し込んだ枠には78人の受講生がいるらしく、2部屋に分かれて各部屋39人ずつ講習を受けるスタイルでした。
講師は普段から時折セミナー講師の仕事などを引き受けるタイプの現役バリバリの宅建士さん。不動産屋さんの代表取締役もやってるそうで風格が漂ってました。
講習の構成
講義の構成は次のような感じです。
- 1日目
- 中古戸建の売買の媒介(売却相談〜土地登記調査)
- 中古戸建の売買の媒介(建物登記調査)
- 中古戸建の売買の媒介(土地現地調査)
- 中古戸建の売買の媒介(建物現地調査)
- 中古戸建の売買の媒介(生活関連施設の調査)
- 中古戸建の売買の媒介(法令上の制限調査)
- 2日目
- 中古戸建の売買の媒介(重要事項説明書作り)
- 中古戸建の売買の媒介(売買契約書作り)
- マンションの売買の媒介
- マンションの賃貸の媒介
- 重要事項の説明方法
- 修了試験(60分)
総合資格学院がそうなのか知らないですが、中古戸建て売買の比重がやたら高く、そこで学んだことを元にマンションや賃貸の話に広げていくスタイルになっています。中古戸建は販売にあたって土地と建物の両方で念入りな調査する必要があり、考えることが豊富だからかもしれません。
登録実務講習というだけあって、めっちゃ実務に関わる話が多いです。宅建試験で勉強した内容は法律の規定中心でしたが、それがどういう形で活かされるのかが分かる面白い内容です。最初からこういうことを勉強したかった!
1日は60分の講義と10分の休憩の繰り返しです。小学校から大学までと同じ過ごし方のはずなのに、なぜ社会人になったらこのような1日を特段単調に思えてしまうんでしょうね。
1コマの流れ
1コマ60分の講義は20分ごとに区分されます。
最初の20分はビデオ学習で、受講生みんなで教室中央のスクリーンを観ます。自動車教習所の学科講義みたいなもんですね。
自動車教習所のビデオと違うのは、映像内にVTRや板書があるわけでなく、スクリーンの中央で真正面を向いたどアップの講師が滔々とテキストの解説を進める点です。そんな講師の映像を天井が高いだだっ広い空間の中で40人弱の大人が眺めている様子は、まるでデスゲームの始まりみたいな構図でした。
次の20分は演習問題を解く時間です。演習問題の多くがテキストや資料集から対応する記述を探して写経するような難易度なので楽勝です。絶対に20分もいらないなこれ。
演習問題では一貫して練馬区の土地を売りたい「練馬一郎さん」(なぜか出身は練馬区でなく静岡県という謎設定)の事例が使われていて、そのために演習問題では練馬一郎さんの架空の住所(東京都練馬区大泉町七丁目)をやたら書く羽目になりました。これ覚えてどうすんねん!東京都練馬区大泉町は実際は六丁目までは実在するみたいで、無駄にリアルを追求してて草。
最後の20分は演習問題の解説時間です。こっちは映像の講師でなく、リアルな講師が答えと解説を教えてくれます。解説に交えて不動産の現場の実情も教えてくれるので聞いててとても面白かったです👍
最後にテキストの重要ポイント(後述)が紹介されて終了します。
休憩時間は売店に行くなり講師に質問しに行くなり自由です。
Step5. 修了試験を受ける
2日間の通学のラストを飾るのは、今までの勉強の集大成とも言える60分の修了試験です。
修了試験は、(実施しているところによると思いますが)選択問題と記述問題の組み合わせです。それぞれ80%以上を得点できたら試験合格となり、登録実務講習の修了者として認められます。
これが受からないと修了したことにならないので絶対に落とせない試験なのですが、普通に講習を受けていたら絶対に落とさない試験になっています。
理由は簡単で、修了試験はテキストと資料集の持ち込みがOKで、前述した「テキストの重要ポイント」の多くが問題を解く上で決定的なヒントになっているからです。合格率99.9%以上(LECの場合)の理由が頷けます。
60分の試験時間は、見直しの時間を加味すると優しい先生が作った定期試験レベルのちょうどいい長さでした。
修了試験が終わると全日程が終了し、解散します。講師の方に直接お礼を言って帰りました。
Step6. 「登録実務講習修了証」が届く
忘れた頃に特定記録郵便が家に届きました。
中には、修了試験の結果(↓)と「登録実務講習修了証」(サムネ)が一続きになった厚紙と、宅建士登録申請の案内が入っていました。
修了試験の結果は満点でした!やったー!受けたら分かりますが、満点を取るのは全然難しくないです。
これを使って後日宅建士登録の手続きを進めようと思います。
登録実務講習の攻略方法
今まで書いた内容で十分だと思いつつも、せっかくなので登録実務講習の攻略方法を書いておきます。
事前に頑張って勉強しなくてOK
SNSを見ていると、登録実務講習の事前学習にめちゃくちゃ時間をかけてる純粋無垢な方々が少なからずいましたが、そこまで頑張って勉強しなくてOKです。
ぶっちゃけると、事前にノー勉でも普通になんとかなる作りになってます。
むしろ頑張って勉強して知識をバキバキに固めると、かえって通学日の講義が既知の内容ばかりになってめっちゃ退屈になるなと受講しながら思いました。
講習中の暇な時間にテキストや資料集を読み込む
前項みたいなことを書いたものの、講習ではテキストのいくらかをスキップしながら進行するので、講習を聞いているだけだとテキスト・資料集の内容を網羅することはできません。
ですので、登録実務講習でちゃんと実務のことを勉強したい!と考える読者諸賢は、少なくとも講習中の暇な時間にテキストや資料集の扱ってないところを読み進めるのがオススメです。
「暇な時間」の最たるものが、演習問題を解いている時間です。20分くらい与えられているものの、問題は写経ゲーのものばかりなので、早ければ5分くらいで終わります。私は解答の理解が済んだら、残りの時間を使ってテキスト・資料集を読んで時間を潰してました。
他には、通学日の夜やそれ以降に読み進めるのもオススメです。通学日より前に勉強するよりも頭に入ってきます。
「テキストの重要ポイント」は絶対に聞き漏らさない
講習の中で時々紹介される「テキストの重要ポイント」は、講義の修了という観点で見ると最も重要な情報です。これを知っているかどうかでテストの難易度は大きく変わります。というか、これさえ知ってたらほぼ確実に受かります。
ですので、テキストのどこが重要なのかは決して聞き漏らさないようにしましょう。万が一聞き漏らしてしまったら、休憩時間に周りの受講生や講師の人に尋ねてでも把握しましょう。
講習は「テキストの重要ポイント」を聞くために受けていると言っても過言でない!
おわりに
以上、宅建の登録実務講習の色々でした。
後学のために一部始終や攻略法を書きまとめましたが、こんな記事を読まなくてもノー勉でノコノコ通学して言われたことをやっておいたらなんとかなる作りなんで、深く考えず気楽に臨んでください。
一番難しいのは希望する日程の講習を申し込むことかもしれません。