不動産&法律知識ゼロの私が宅建試験を受けて悟った現実

こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。

先週、不動産取引の専門家の資格・宅建士の試験である宅地建物取引士資格試験(宅建試験)を受験してきました!

私は不動産知識も法律知識ゼロだったんですが、どちらの知識にも興味があるので勉強する機会を作ろうと思って受験を決めました。しかし、受験勉強を進めるにつれて、宅建試験のリアルが浮き彫りになり、当初のイメージが崩れていくのを感じました。

今回は、宅建試験の受験を検討している皆さんに向けて、受験前に覚悟しておいた方が良い宅建試験の実情を書いていきます。

素人の私が抱いていた宅建試験のイメージ

法律も不動産も全く専門じゃない私ですが、宅建試験の名前くらいは昔から知っていました。なぜなら、本屋の資格コーナーにデカデカと「宅建」って書かれた参考書が平積みされているのを幾度となく見てきたからです。

宅建試験の参考書は、資格コーナーの中でもFPや日商簿記に並ぶメインコンテンツで、実際、私が適当に探して見つけたWebサイトによると国家試験の中では運転免許やITパスポートに次ぐ規模の受験者数を抱えているようです。

よって、宅建受験を考えた当初、宅建試験はなんとなく次のような印象を抱いてました。

  • なんか不動産の知識がつきそう
    • 「宅建」(=宅地建物)って書いてるんだから不動産のことやってるでしょ
  • 文系の就活生がなんか取ってそう
    • ガクチカの一環として自分に箔を付けるためにとりあえず受験してそう
  • ちょっと頑張れば受かりそう
    • 本屋での目立ち方から察するに国民の幅広い層が受けてそうだし難しくなさそう

もしかすると、今この記事を読んでる方の一部もそんな感じかもしれません。

しかし、実際に宅建試験の受験を経て、私の認識は大きく変わりました。かつての私のような甘っちょろい考えを持っている方は、受験勉強を始める前、いや、申し込みをする前に次の点に留意して、覚悟を決めてください。

宅建試験を受験して気付いたこと

宅建試験は全50問のマークシート式と聞いて、「運転免許と同じ!楽勝!」と思っていた時期もありました。しかし、宅建試験の概要をしっかりと読み、受験勉強を進める中で次の事実に裏切られました。

不動産というより法律の試験である

宅建士の正式名称は「宅地建物取引士」。その名の通り宅地と建物(不動産)の取引の専門家なので、宅建士試験は不動産取引のノウハウや不動産の目利きに繋がる知識を問うてくるように思えなくもありません。

しかし、実際はそんなことありません。宅建試験は不動産に関する法律の試験です。具体的な問題構成はこんな感じです。

単元問題数範囲
権利関係14問民法・不動産登記法・区分所有法など
法令上の制限8問都市計画法・建築基準法・農地法・国土利用計画法など
税・その他3問地方税法・印紙税法・所得税法・登録免許税法など
宅建業法20問宅建業法・住宅瑕疵担保履行法など
免除科目5問景品表示法・各種統計・土地・建物など

不動産取引は、扱うお金が大きい上に売り手と買い手の情報が非対称なので、買い手が不利になりやすい性質を持ちます。そのため、不動産取引そのものや、不動産の宣伝方法、不動産事業の営み方などに関して様々な法規制があります。

さらに、不動産はまちづくりや景観保全、人々の安全などにも大きく関わるものなので、場所に応じた建築制限や、建築物自体の制限なども法整備されています。

このように、不動産を使った商売の周辺には無数のルールがあり、素人が手を出すと法令違反を起こしてしまいかねません。

宅建士が不動産取引の専門家と言われるのは、そうした不動産取引を取り巻く法令に熟知しているという点における話であり、よって試験のほぼ全ては法令・判例から出題されるわけです。具体的には、ある事例が法令・判例に基づいて正しいか・誤っているかを判断する問題が大半を占めます。

法令・判例以外の問題もありますが、例年50問中3問しか出ません。しかも、不動産統計・土地・建物の各1問で、土地と建物はどちらも安全性に関する出題がほとんどです。

もし、不動産取引のノウハウや不動産の目利きに繋がる知識が欲しくて宅建受験を考えているならば、手段を間違えてますのでご注意ください!

覚えゲー過ぎて勉強しないと落ちる

宅建試験が法律の試験ならば、弁護士らしいロジカルシンキングが要求される理系的なテストのように思えなくもありません。

そんなことないと完全否定することはできませんが、確実に言えるのは暗記を制したものが勝つ覚えゲーであることです。

試験問題は、条文の丸コピや、その言い換えが出てきます。ある前提から高度な論理を駆使して解答を導く能力はほとんど求められず、単にそれを覚えているかどうかが正誤を分けます。

ポイントは、試験で出る知識には日常生活を送る上で自ずと得られるものはほとんど無く、大半の知識は参考書や法令を読んでイチから覚えなければならないということです。不動産業界の社会人や都市整備系の公務員以外は、全員スタート地点が同じです。全員赤ちゃんです。

よって、ノー勉は容赦なく落ちます。勉強せずに受験したときの点数は、おそらく4択問題の期待値(正答率25%)とあまり変わらないんじゃないかなと思います。

宅建試験に求められるのは、愚直に暗記に励む勤勉さと、限られた時間に多くを覚える要領の良さなのです!

重箱の隅を突く嫌らしい問題が蔓延ってる

これは私が受験当初に知っておきたかったことです。私は試験直前に悟って大焦りしました。

宅建試験では、そんなこと聞いて何になんねんと思える細かな知識を容赦無く問うてきます

まず、参考書に太字で書いていることは当たり前のように覚えておく必要があります。その中の「N日前までに〜」「M平米を超える〜」のNやM、「超える」の部分もしっかり暗記する必要があります(以上と超えるの区別を問うてきます)。実務ならそんなん調べるやろと思うのですが、問題に出る以上覚えなければなりません。

意外と頻出なのは、宅建士が一定条件下で受講する法定講習都道府県知事が指定していて、宅建登録前に一定条件下で受講する登録実務講習国土交通大臣が登録するというどうでもいい違いです。こういう将来役に立つか怪しい知識も試験に出るからには暗記が必須です。

ここまで挙げた話はまだ易しい方です。過去問を解くとやがてぶつかる壁だからです。

さらに嫌なのは、マジで知らん問題が割とよく出ることです。

宅建試験の範囲は多くの法令を含んでおり、各法令は無数の条項で構成されるので、これらの原文を網羅的に把握するなんてことは現実的ではありません。ですので、私たち受験生は参考書という法令の要点がまとめられた本をベースに暗記を進めます。しかし、宅建試験の範囲はあくまで関係法令の全範囲。参考書にないようなマニアックな法令が絡む出題も往々にしてあるわけです。

こういうのは受験生にとってめっちゃダルいです。

実質的に相対評価である

上2項目で掲げた謎の覚えゲーや重箱の隅を突く問題が出るのには、そうせざるを得ない事情があるようです。

宅建試験の合格点は問題の難易度により30点台を目まぐるしく動きますが、合格率は常に15〜17%あたりをキープしています。これはつまり、宅建試験は実質的に成績上位15〜17%程度を選抜する試験であることを示唆します。

公式な明言はありませんが、こうした統計データから、全受験者の採点が終わったあとに合格率が一定範囲に収まるように設定しているものと考えられます。

よって、勉強するにあたっては「みんなと一緒に合格するんだ」なんて呑気なことを言うのでなく、周囲を蹴散らさんとする戦闘意識を持つことが重要です!

宅建試験は50点満点で、全てが部分点なしの択一問題。このような問題形式で成績上位15〜17%程度をピンポイントに炙り出すためには、受験生の点数分布にバラつきをもたらす必要があります。しかし、宅建士として必要な基礎知識を真面目に問うだけでは問題の難易度が下がってしまい、点数分布が高得点層に偏ってしまいかねません。

そのため、"知る人ぞ知る"問題やマニアックな問題も時に出すことで問題の難易度を上げて、平均点を真ん中に寄せるとともに得点の分散も図ってるんじゃないかなと思います。

おわりに

そんなこんなで色々と書きましたが、要するに宅建試験は素人が想像するよりもはるかに難しい試験であるということです😭

最後まで読んでいただいた方は、宅建試験の難しさに折れて受験を見送るのではなく、難しいからこそ周到な準備をして試験に臨んでほしいと思います!

実際、私は不動産と法律の知識がほとんどない無知ながら宅建試験に挑み、独学で自己採点40点以上を取ることができました!ですので、知識ゼロでも頑張れば合格水準に達することができるはずです。

私の具体的な勉強法を後日発信する予定ですのでお楽しみに!

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