良い習慣を作る心理学的方法(行動を変えるデザイン)(#41)
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
「継続は力なり」「千里の道も一歩から」ということわざ、「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」というイチローの金言から分かるように、何かしらの結果を生み出すには、小さなことを継続するのが重要です。
が、そんなこと分かっているのに続かない!!私は、大人になってからというものの継続の壁にいつもブチ当たってます。
ところで最近、私はこの本を読んでいます。
これ、人に行動してもらう系のサービス(家計簿アプリや健康管理アプリなど)を、いかにして上手く設計・改善するのかをエンジニア向けに書いた本です。
この本の前半に、そもそも人に習慣を作らせるにはどうすれば良いかという冒頭の悩みにダイレクトヒットするネタがありました。この内容がエンジニア問わず万人のとって有益だなと思ったので、今回はこの本が述べる習慣の作り方を私が考えた例を交えて紹介します。
習慣つくりの基本3つ
習慣を作る上でのカギとなるものは、習慣となる動作そのものと、その前後にあります。
- キュー
- ルーティン
- リワード
用語は本から引っ張ってきたまんまです。横文字でよく分からないですよね。
それぞれを詳しく見ていきます。
- キュー
- 習慣化したい行動のキッカケとなるものです。人の行動には必ず何らかのキッカケがあります。例えば、ある時刻が訪れた、ある行動をした、ある考えが浮かんだ…などなど。このキッカケをしっかりと見つめ、上手く利用することで、行動の習慣化をより簡単にできます。
- ルーティン
- 習慣化したい行動そのものです。例えば、定期的なランニング、勉強、ブログ執筆…などなど。この行動を思考停止で出来るようになるかが習慣化達成のキモです。
- リワード
- ある行動の結果として得られる成果や報酬です。人は何らかの結果を求めて行動をします。行動への対価が得られれば、行動を繰り返そうとする欲求が高まります。
このように、習慣を時間軸で区切ったのがこれら 3 つです。そう考えると分かりやすいですよね。
この 3 つをどのようにすると習慣化しやすいか見ていきましょう。
長続きする習慣を簡単に作る方法
先ほど上げた 3 つのステップ、キュー、ルーティン、リワードのそれぞれに工夫をすることで簡単に習慣をつくることができます!
ここでは、「毎日勉強をする」という習慣を作りたい場合を例にしたいと思います!
キューを曖昧のない明確なものにする
まず、どのタイミングで、どの条件で勉強を始めるか明確にしましょう。
例えば、朝の支度が完了して自室の椅子に座ったら、仕事の帰路に駅のカフェに入ってカウンターに座ったら、みたいな感じです。
重要なのは、そのタイミングが訪れたときに習慣化したいことだけができるような、目的が絞られていて曖昧さのない条件とすることです。
例えば、「ヒマと感じたら」って条件にすると、勉強だけでなく、ゲームや漫画のキッカケにもなるかも知れません。それだと結局勉強をしなくなる可能性があります。そこで、「机に向かったら」のように、勉強に関係のある(他に大きく関係しなさそうな)条件を置くことで、机に向かうことと勉強をすることに強い関連が生まれます。
ルーティンは考えることなく自然にできるものにする
習慣化したい行動そのものは、深く考えることなくできるようなことであることがベストです。
勉強の場合、分からないことを理解する作業には当然ながら深い思考を伴います。が、そうでなくとも、
- どの科目のどの単元を勉強しようか。
- どの参考書を使おうか(というか参考書どこ置いたっけ)。
- 前回どこまでやったっけ。
- どういった要領で進めようか。
って感じで、学習内容の理解以外にも、色々考えることはあります。
こうした雑多なことを考えなくても良いようにすると、習慣化が一層進みます。
- 曜日によって科目を決める。単元は教科書順にする。
- 使う参考書の数を絞る。参考書は指定位置に片づける。
- 前回やった場所にしおりを挟む。
- 自己流の勉強法をさっさと確立する。
ちなみに、本書はルーティンの簡略化は決して必要なものでないと述べていたのが印象的でした。例えば、車の運転は非常に複雑なキューとルーティンの繰り返しです。右折するときだけでも、「対向車線に車がいないことを確かめたら」というキューがあり、それに対して「ハンドルを右に切ってアクセルを踏む」というルーティンがあります。しかし、世の中の運転手たちは当たり前のように運転をこなしています。結局のところ、私たちは強くて明らかなリワードが手に入るならば多少複雑なルーティンでも習慣化できるという結論のようです。
リワードはルーティンとの繋がりが明確なものにする
習慣化したい行動と関係性の強いご褒美がもらえると、行動を繰り返そうとする力が強まります。脳が行動とご褒美を結びつけて考えるようになるからです。
勉強の場合は、こんな感じですね。
- TwitterやLINEでの勉強報告(反応が来たらなお良し)。
- ほどよい疲労感。休めることへの快感。
- 自分は他人より良いことをしたという優越感。
- 試験の成績が向上する。
勉強の場合、意図的にリワードを設定するのは難しいですね(笑)強いて言うならば、休める快感や他人に対する優越感を持ってない人は、あえて自分の中で感じるように仕向けてみるのもアリだと思います(自分の心の中で感じる分には人の勝手なんで)。
本書で述べていた興味深い話として、リワードは常に必要でないということです。リワードが不要という話でなく、リワードがランダムに与えられたときの習慣化の影響に関する話です。
リワードの有無にランダム性があると、習慣の構築に時間がかかる一方で、リワードがなくなっても習慣がなかなか解けないことを報告する研究があるそう。つまりリワードがランダムだと習慣が強固なものになるということです。
高校時代、各試験の成績ランキングが校内に掲示されていました。勉強すればランキングのトップに君臨して「学年トップ」と称えられる圧倒的リワードです。しかし、ライバルも頑張っているので、勉強したからといって学年トップを取ることはなかなかできません。高校時代の私は、まさにランダムなリワードによって勉強を習慣づけられてたんだなと今になって思いました。
ということで、勉強を習慣化したいときはこうしよう
以上をまとめると、勉強を習慣化したいときは ↓ のようなお膳立てをすると習慣化しやすいと思います。
- 朝の支度が済んで椅子に座ったら。夜の歯磨きが済んで椅子に(以下略)。通学途中のカフェに入ったら勉強をする。
- 科目・単元・参考書の選び方をルール化する。参考書は前回やり終えた場所にしおりを挟み、指定位置に片づける。
- 自己流の勉強法(参考書の進め方)をさっさと確立する。
- 勉強友達を作って終わったらシェアする。なんなら競争する。心の中で達成感、優越感に浸る。
習慣化したら見えるもの
以上、「行動を変えるデザイン」に書かれていた習慣化の方法でした。この本、400 ページ超えの大作なんですが、ここに書いたことはほんの 10 ページ弱にすぎません。中身が詰まりすぎです。また、他にも習慣を変える(変えさせる)方法や、人が行動を起こすまでの心理的な過程などが熱く語られています。UI/UX エンジニア向けの本ですが、万人にとって面白い本だと思うので、興味のある人は読んでみてください。
ちなみに、習慣化を達成するとその行動をしていることに何も感じなくなります。風呂上がりに体を拭いて服を着ることに何も感じないですよね。そういう状態こそ習慣化のゴールです。
例えば、運動や摂生の習慣が身に付いたとします。すると、自分は運動や摂生に苦楽を感じないので、自分目線で見るとまるで自動的に健康かつスタイル良くなっていくようです。これって最強じゃないですか??
私も早く勉強やブログ執筆・Web 開発の習慣をつけてつよつよになりたいなぁ。