【季節別】他愛ない天気の話を有意義にする天気雑学10選(#26)
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
最近、雨が続きで憂鬱ですね。ほんと、いつ梅雨開けするんでしょうね〜。でも梅雨明けしたらしたで今度は猛暑が訪れるので、またうんざりな日々ですけどね〜。
みなさん、大して仲が良いわけでもない相手と一緒にいるとき、何か話さないと気まずいために、こんな情報量ゼロのしょーもない天気の話をしていませんか?
天気の話を間を繋ぐことだけに利用している人は、人間として二流です。一流の人間というものは、相手に GIVE することを常に考えており、天気の話も相手の役に立つ情報を GIVE する場として捉えているのです。
今回は、天気の話の中で繰り出すと役立つ雑学知識を紹介します。この記事を読むことで、天気の話が、時間潰しの無意味な存在から、相手に「こいつ只者じゃないな…」と興味を引きつけてやまない有意義な時間に早変わりしますよ ♪
梅雨の雑学
まずは、今すぐ使える梅雨周りのネタからです。
梅雨は、東アジアに佇む南北の気団がぶつかり合って停滞前線ができることで発生します。停滞前線は、北の冷たい気団と南の暖かい気団が同じ力でせめぎ合っているときに生じる前線です。両者が拮抗しているのでビクとも動きません。これが梅雨が 1 ヶ月単位でずっと雨模様をもたらす理由です。5〜7 月の梅雨季にできる停滞前線を「梅雨前線」と呼びます。
おっと、さっそく豆知識が出てしまいました。さっそく行きましょうか。
中国語でも「梅雨」
上に書いたように、梅雨は東アジア特有の現象です。そして、梅雨は日本以外でも、中国や韓国など東アジアの広い範囲で発生します。そして、中国・台湾での梅雨の表記は、日本と同じ「梅雨」です!ちなみに、読みは「メイユー」です。
「梅雨」という表記は、梅雨の時期が梅の実が熟す 6 月ごろと重なるからという説があります。
梅雨はいつ終わったか(始まったか)分からない年がある
お天気雑談界が注目する梅雨入り/梅雨明けの発表は、1951 年の統計開始以降、気象庁が毎年実施しています。私たちがニュースで耳にするのは、気象庁がリアルタイムに発表する「速報値」であり、後日に気象庁内で夏以降の気象状況を考慮に入れた再検討がされて「確定値」が決定されます。過去年の梅雨入り・明けのデータは確定値です。
昭和 26 年(1951 年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)
そして、年によっては梅雨入り/梅雨明けの時期が特定されないまま終わることがあります。これは梅雨前線の動きなどから、どのタイミングで梅雨入り/梅雨明けしたのか分からない場合があるからです。特に、東北北部では、梅雨前線が夏以降も残留し続けてそのまま秋になることが少なくなく、梅雨明け特定なしとなることが他の地方よりも頻発します。
例えば、関東甲信では、梅雨入り特定なしの年こそありませんが、梅雨明けは、たった 1 度、1993 年のみ特定なしとされました。近畿地方では、梅雨入りは 1963 年、梅雨明けは 1993 年のそれぞれ 1 度だけ特定なしとされています。
夏の雑学
夕立が発生する理由
夕立とは、午後〜夕方ごろにかけて降るにわか雨のことで、夏特有の現象です。
夕立ができる過程は次の通りです。
- 午前中、日が昇り地面を照らし、地面を温める。
- 地面付近の高温多湿な空気が温まり上へ昇る。
- 上空ほど気温は低い。空高く昇った空気が冷やされて、湿気が水滴になる(これが積乱雲になる)。
- ある程度の重さになった水滴が地面に次々と落ちてにわか雨をもたらす。
これより、午前中が蒸し暑いと高確率で夕立が発生することになります。蒸し暑い朝を迎えたら、念のために傘をもっていきましょう。
夏の気温は135年で約2℃上がっている
気象庁の HP では、各気象台が過去に観測した気象データを参照できます。特に、東京管区気象台の中にある東京測候所では 1875 年(明治 8 年)から観測を続けており、140 年分以上のデータが蓄積されています。1875 年って西郷隆盛が現役の時代です。めちゃくちゃ昔ですね。
このデータを用いて、夏(7〜9 月)の平均気温を集計すると、1875 年からの 10 年間と、2011 年からの 10 年間で、平均気温がおおよそ 2 度程度アップしていることがわかります。
東京に限って言えば、温暖化は確実に進行しているみたいです。
秋の雑学
台風は右半分の方が強い
秋になると、太平洋高気圧のバリアがどんどん日本から離れるので、台風がやたらと日本を直撃するようになります。
台風が直撃したとき、台風の進行方向の左側よりも、右側の方が風が強いことが知られています。
台風は反時計回りに回っています。つまり、右側は進行方向に風が吹いています。そして、台風の周りには、台風の進行方向に風が吹いています。この風が台風を動かしているから当たり前ですよね。
よって、台風の進行方向の右側は、「台風自身の風+台風を動かす周りの風」の足し算で、左側よりも強力な風になるのです。
逆に、進行方向の左側は、台風自身の風と周りの風が打ち消しあうので、右側と比べて風がかなり弱くなります。
台風の進路を確かめるときは、台風のどちら側が直撃するかもチェックしましょうね。
小春日和は春の現象でない
小春日和とは、晩秋から初冬ごろの暖かくて穏やかな晴天をいいます。「小春」なんていいますが、春の現象ではありません!
小春とは、旧暦 10 月(今の 11 月ごろ)の別名で、春に似た気候になりがちなのがその由来です。
ちなみに、旧暦 10 月は冬にあたるので、冬の季語です。
冬の雑学
西高東低になると起こること
出典:気象庁|天気図
天気予報でよく聞く「冬型の気圧配置」こと西高東低。これは、文字通り、日本の西側(大陸の上)に高気圧が、日本の西側(北海道の東あたり)に低気圧がいる状態です。
西高東低だと日本の天気は次のようになります。
- 日本全体が超寒くなります。空気は高気圧から低気圧に流れます。西高東低になると、シベリア上空の大陸にあるクソ冷たい高気圧の空気が日本に流れてくるからです。
- 日本海側は、猛烈に雪が降ります。これは、大陸の高気圧から流れてきた空気が日本海上で水分を蓄えて、日本海側の山にぶつかったときに雪の形になって地表に降り注ぐからです。
- 逆に太平洋側は、乾燥します。日本海側から流れてきた空気は、すでに日本海側で大量の雪をもたらしているので、太平洋側に来ることには水分が抜けたカラッカラの空気になってるからです。
つまり、「西高東低」は、日本の冬らしい天気の源なんですね。
雹(ひょう)と霰(あられ)と霙(みぞれ)の違い
冬場によく聞く 3 つのワード。この違いをしっかり区別することで、より正確なお天気雑談をしましょう。
以下は、気象庁の用語集にある定義です。
- 雹(ひょう)
- 積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊のことです。
- 霰(あられ)
- 雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの。
- 霙(みぞれ)
- 雨と雪が混在して降る降水。
まず、ひょうとあられは、ともに氷の粒です。両者はそのサイズが 5mm 以上か否かで分けられます。ちなみに、ひょうには積乱雲から降るという条件が付いていますが、そもそも 5mm 以上の氷の塊は積乱雲じゃなければ発生しないので、積乱雲じゃない 5mm 以上の氷塊はなんやねんという問題は基本生じません。
みぞれは、上の 2 つとは異なるカテゴリのもので、降ってくるもののサイズでなく、雨と雪が混じっていることが条件です。
春の雑学
「春分の日」は昼と夜の長さが等しい
日本の祝日である「春分の日」。これは昼と夜の長さがほぼ同じである春の日のことを言います。このような日は、天文学では春分日といいます。ほぼ同じと書いたのは、実際のところ昼の方がちょっと長いからです。
春分の日は、あくまで祝日のことで、天文学的な日付である春分日とは区別されます。春分の日は、国立天文台が算出する春分日に基づいて決められ、前年 2 月の最初の平日に発表されます。天文学的に日付が決まる祝日って面白いですね。
ちなみに、これは 9 月 23 日頃に訪れる秋分の日も同様です。
春は既に紫外線が強い
紫外線対策を夏だけしている人が多いですが、実際のところ、春の時点で紫外線はそれなりに強いです。
次のグラフは、気象庁が提供する日最大 UV インデックスの大阪における 1997 年〜2008 年の平均値です。
出典:気象庁|日最大 UV インデックス(解析値)の月別累年平均値グラフ
UV インデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを示す指標です。WHO は、UV インデックスが 3 以上になったら日陰を利用することを推奨しています。
このグラフを見ると、3 月の時点で既に中程度の紫外線量が降り注いでいることが分かります。
「春こそ日焼け対策に注意しよう」とよく言われるのは、春は紫外線の強さに対して多くの人が十分な紫外線対策を講じていないからです。紫外線が弱いのは冬場だけ!紫外線が気になる方は、夏だから紫外線対策をするのでなく、冬以外は対策するよう心がけるのが吉です。
天気の話ガチ勢になろう!
今回の記事を読むと、天気の話はこんな感じになるでしょう。
まだまだ梅雨が続きますね〜
今年の梅雨はいつになったら明けるんだろうね〜
梅雨は特定の日に明けるものだと思っている人は多いですけど、実は梅雨明けの時期って特定されない年もあるんですよ!梅雨明けの発表は、気象庁が毎年実施してるんですけど、例えば梅雨前線が夏以降も留まり続けたまま秋を迎えてしまったような場合はこのタイミングに梅雨が明けたって断言することが難しくて、こういうときは梅雨明け特定なしとして扱われてしまうんです。東北地方ではこういう年がよくあるんですけど、関東地方だと 1951 年の統計開始以降、唯一 1993 年に梅雨明け特定なしになりました。そして、…
お、おう…
それでは、よいお天気雑談ライフを!