【仕事術】新人への指示のメモは先輩が作るべき理由(#23)
こんにちは、おぐえもん(@oguemon_com)です。
研修期間が 2〜3 ヶ月程度ある大手企業などでは、研修を終えた新人社員がそろそろ配属される時期です。
そこで、今回は後輩や新人への効率的かつ的確な指示出しの方法を扱います。
後輩にメモを取らせてませんか?
新人をはじめとする後輩社員が仕事を覚えるとき、次のような流れを踏むのは定番かつ一種の常識になってます。
- 先輩社員が口頭で方法を説明する。
- 後輩(新人)社員が聞いた内容をメモに残す。
- 後輩(新人)社員は、メモに基づいて仕事を進める。
私が新入社員のとき、研修に招かれた社外のマナー講師もこれを当然とする社会人マインドやらを語ってました。
しかし、私は大学時代にサークル運営をしていた頃から、この方法は非効率かつ不完全だと思ってました。
なぜなら、この方法は次のデメリットがあるからです。
後輩がメモを取る3つのデメリット
時間がかかる
メモを取る人はメモの内容について「何も知らない人」です。知識の乏しい状態から真新しいことを記録するのは頭を使う時間のかかる作業です。
教えているときに生じる後輩のメモ待ちの時間ももったいないです。
伝えたいこととメモとの齟齬が生まれる
聞き手が書き手だと、それが新人かどうかに関わらず、伝えたいことの一部が漏れる可能性がどうしても生まれます。
ましてや、それが何も知らない新人社員の場合、思ってたのと違う結果になる可能性は計り知れません。
言った言わないの話になる
先輩が言ったことがメモになるのでなく、後輩が聞いたことがメモになります。書き漏らしたことは、どこにも残りません。このことが後で「俺は言った」「そんなこと聞いてません」のトラブルに繋がります。
先輩がメモを取るって?
このように、聞き手にメモを取らせるのは、効率が悪いですし、さらには言ったことが確実にメモに残らないリスクを秘めています。なので、言ったことを新人が全てメモれなかったとき、新人を責める前に、確実な記録が保証されない方法で情報を伝えようとする自分の判断も省みるべきです。
言ったことが確実に残る方法、それは言う側の人があらかじめメモを作成することです。
私は普段、次の方法で指示を出しています。
- 指示内容をマニュアル化する
- できたテキストをチャットで送る
急ぎの用件で、すぐに対応してもらう必要があるときなどは、口頭のメッセージを添えるという形でやっています。
かれこれ 1 年近くこの方法を使ってますが、この方法を用いたことによる大きなミスは発生していません(後輩が優秀なのもあると思いますが^^)。
先輩がメモを作る3つのメリット
指示者である先輩社員が指示内容をメモに残すと、みんなが幸せになります。
伝えたいことが100%伝わる
聞き手が書き残すと、話したことの書き漏らしが生じますが、話し手のメモ書きは、話したいことの 100%を詰め込めます。これにより、確実な情報伝達が可能になります。
そして、確実な情報伝達が可能なので、伝わらなかったときの責任は原則として伝わらない文章を書いた先輩側に生じます。したがって、言った言ってないの論争が発生することもなく、後のトラブルも少なくなります。
指示内容を整理できる
指示内容を(正しく伝わる形で)文章化するには、その内容を順序立てて、必要事項を網羅した説明を書く必要があります。そうした文章を書く中で、指示内容が論理的に整理されます。
内容を整理すると、本当に必要なことだけが指示内容に残るようになるのもポイント。
口頭で指示を受けたとき、思いついたことをつらつらと語られた結果、本当にやらなければならないことが分からない…なんてことありませんか?
指示する人が思考を文章化すると、無駄のあることを伝達するコストを抑えられるメリットもあります。
同期しなくて済む
そもそも、口頭の指示では指示者と聞き手が同じ時間を共有する必要があります。お互いに時間が空いている瞬間はそう多くなく、口頭指示のためにどちらかの作業を遮ってしまうことがほとんど。知的作業の集中が遮られたとき、元に戻るためには 27 分かかるという研究データもあり、作業を遮ることによるダメージは見かけ以上に大きいです。
指示者がメモ書きを渡す方法は、両者が必ずしも同じ時間を共有する必要がありません。したがって、お互いの都合の良い時間だけを利用することができて効率的です。
仕事をどんどんマニュアル化しよう
指示を出すにあたって、仕事の内容をマニュアルの形にまとめておくことは、効率や正確さを高めるだけでなく、同じ仕事を誰もができる状況を作ることができるメリットもあり、至れり尽くせりです。
ただし、この方法を効率的に使うためには、
- 指示内容の本質を捉えて分かりやすく論理的にまとめる思考力
- 文章を素早く文字に起こすタイピングスピード
が要求されるのが難しいところです。
この方法を上手くできる能力があるかどうかが、先輩としての器量を試すひとつの鍵です。